契約・法律に関する用語:一覧
悪意
法律上では、ある事実(事情)を知っていることを指す。
悪意の第三者
法律関係の発生・消滅・効力に影響するような、ある事実を知っていながら、その行為を行なう者のことである。
例えばその手形が、盗まれたものであることや売買契約キャンセルに伴なう無効手形であることを知りながら、手形を受け取った人などはこれに該当する。
異議
民事訴訟において相手方や裁判所、書記官などの行為、処分、裁判などが不当または違法であるとして、当事者が行なう不服の申立てのことである。
異時廃止
破産廃止の一種である。
破産宣告後、破産手続が進行中に裁判所が破産財団が不足で破産手続の費用も賄えないと認めた場合に、破産管財人の申立てまたは裁判所の職権により手続が廃止されることである。
この場合、裁判所は債権者集会の意見を聞かなければならない(破産法353条)。
一律源泉分離課税制度
預貯金の利子を含め広く金融資産収益については、他の所得と分離して一律に20%(このうちの5%は地方税)の税金で源泉徴収が行なわれ、確定申告を行なうことなく課税関係が終了する制度である。
預貯金利子に対する税制としては、1988(昭和63)年3月まで、一定の金額上限の下で非課税の扱いをする少額貯蓄非課税制度(マル優)をはじめとする各種の優遇制度が存在したが、1988年4月以降は、原則として一律源泉分離課税に統一され、非課税制度は高齢者、身体障害者、母子家庭等に限定して残ることとなった。
委任
当事者の一方(委任者)が他方(受任者)に事務の処理を委託し、受任者がこれを承諾することによって成立する契約をいう。
多額の債務を抱えた債務者が弁護士に債務整理を依頼する場合などがこれに相当する。
民法では契約などの法律行為の委託を委任とし(民法643条以下)、法律行為でない事務の委託を準委任として区別しているが、準委任には民法の委任の規定が全面的に準用される(民法656条)。
受任者は善良な管理者の注意をもって委任事務を処理するものとされる。
委任は各当事者がいつでも解除することができ、また委任には代理権の付与を伴なうことが多い。
委任状
契約の締結など一定の事項について、ある者に委任した旨を記載した書面のことである。
委任者が受任者に委任事項について代理権を付与したことを第三者に証明するために用いられることが多い。
委任は不要式の契約でとくに書面の作成を必要としないが、トラブルの回避など実際上の便宜から委任状を作成、交付するのが一般的である。
委任事項の一部や受任者の氏名を記載しないものを「白紙委任状」と呼ぶ。
貸金業規制法では、貸金業者が公正証書作成のための白紙委任状を取得することは制限されている(同法20条)。
違約金
契約不履行の場合に債務者が支払うことを約束した損害補償金のことである。
金銭消費貸借契約の場合の遅延損害金も違約金の一種である。
印影
紙などに押された印章の跡のことである。
インカムゲイン
有価証券や不動産等の保有により得られる利子・配当・分配金・家賃等の所得収入のことである。
投資対象証券の償還・支払いによる損益、すなわちキャピタルゲイン(ロス)とともに証券投資の収益を構成する。
印鑑/印章
印鑑は官公署や金融機関に印鑑届として届け出てある印影をいい、俗に印章のことを印鑑と呼ぶことがある。
署名(いわゆるサイン)の場合は署名鑑という。
また印影を顕出させるために木・象牙・石などに姓名などの文字、または符号を刻んだものを「印章」と呼び、印顆、印形とも呼称される。
一般には「判」とか「判こ」と呼ばれる。
印鑑照合
金融機関であらかじめ届け出てある印鑑と預金の払戻請求書や手形・小切手などに押された印影を照合することである。
金融機関が使用された印影(または署名・暗証)を届出の印鑑(または署名鑑・暗証)と相当の注意をもって照合し相違ないものと認めて取り扱ったうえは、偽造や変造などがあってもその損害について責任を負わないとされる(普通預金規定ひな型8など)。
印鑑証明
その印影があらかじめ印鑑登録された印鑑のものであることを、官公署(市区町村や登記所)の長が書面で証明する制度のことである。
この印鑑証明書により契約書などに使用された印影が契約当事者本人のものであることが証明される。
登記申請など一定の場合に印鑑証明書の提出が必要とされる(不動産登記法施行細則42条、42条ノ2など)。
実際には印鑑登録時に交付された印鑑登録証の提示により、登録された印鑑を複写した印鑑登録証明書が発行される。
印鑑登録
官公署(市区町村や登記所)にあらかじめ印鑑を登録することである。
この登録印を一般に「実印」と呼び、それ以外を「認め印」と呼んで区別している。
浮貸し
金融機関その他の会社の役職員等が、その地位を利用し自己または第三者の利益を図るため、金銭の貸付、金銭の貸借の媒介、債務の保証を行なうことである。
刑法上の横領罪等になるほか、金融機関の役職員等については「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)」によって禁止されている(同法3条)。
エスクロー
アメリカの法律用語で、「第三者寄託」と訳されている。
特定物件を第三者に寄託し、一定の条件が相手方によって満たされたときにその物件を相手方に引き渡すことを約する条件付譲渡証書のことである。
インターネット取引におけるトラブルが急増したことから、商品や代金の受渡しを第三者が保証するエスクローサービスが広がり始めることとなった。
オペレ-ショナル・リスク
経営リスクの中で、事務リスクとシステムリスクのことを指す。
これに法務リスクを含めていうこともある(信用リスク、市場リスク以外の全ての経営リスクをいう場合もある)。
これらを金融機関が重視するのは、金融機関のビジネス戦略が金利収益だけでなく、バランスシートを使わない手数料など、オペレーション(通信・電算機器の操作)による非金利収益の拡大に注力しだしたことによる。
オペレーティングリース
ファイナンスリース以外のリース契約のことで、修繕などをリース会社が行ない、一定予告期間を置いたうえで中途解約が可能といった特色をもっている。
カード会員規約
クレジットカード会社(発行者)とカード会員の間で設けている規約である。
クレジットカードの支払方法や手数料率などのほか、カード会員が遵守しなければならない事項等が明記されている。
カード会社は会員が会員規約を遵守することを条件にして、カードを会員に「貸与」する。
また顧客へのカードの発行時点までに会員規約も交付しなければならない。
解約/解除
解約とは賃貸借を終了させる場合のように、継続的契約関係を将来に向かって解消することをいい、解除とは割賦販売等においてクーリングオフを実行する場合のように、当事者の一方の意思表示により契約関係を当初にさかのぼって消滅させることをいう。
いずれもいったん成立した契約を解消するものであるが、契約関係が初めからなかったと同様の効果を生ずるかどうかで両者は異なる。
確定判決
上告審の判決や上訴期間の経過などにより、控訴や上告ができなくなってその判決が上級裁判所で取り消される可能性がなくなった判決のことである。
確定判決で裁判された事項は、後にそれが再び控訴裁判所で判断されることになっても、前の裁判内容と矛盾する判断ができないようにする拘束力(既判力)を生じる。
確定判決は強制執行を行なう場合の債務名義の1つである。
確定日付
ある証書が作成された日時について完全な証拠力、ないし対抗力が認められる日付のことである。
確定日付と認められるのは、①公正証書についてはその日付、②証書については登記所または公証人役場でそれに日付のある印章を押捺したときはその日付、③証書の署名者中死亡した者があるときはその死亡の日、④証書を確定日付ある証書中に引用されたときは後者の日付、⑤官公署で証書に証明その他の事項を記入し、それに日付を記載したときはその日付、⑥公証人役場において電磁的記録に記録された日付情報の日付、の6つの場合である(民法施行法5条)。
上記⑤に当たる内容証明郵便は、その代表的な方法である。
貸金業規制法(貸金業の規制等に関する法律)
貸金業法とも呼ばれる。
1983(昭和58)年4月28日成立、同年5月13日公布、同年11月1日に施行された法律(それまでの「貸金業者の自主規制の助長に関する法律」は廃止)。
この法律と同時に改正された「出資法」と合わせて、「貸金業規制二法」と呼ばれる。
貸金業規制法の骨子は、
①貸金業を行なう者は事前に登録することの義務付け(登録制)
②契約書、領収書の発行、取立て行為の規制など各種業務内答についての規制
③貸金業の団体に関する規定(各都道府県に貸金業協会を設立)
④内閣総理大臣(金融庁)または都道府県知事に監督、立入検査、業務停止命令、登録資格の取消しなどの権限を付与
⑤みなし弁済規定(債務者が利息として任意に支払った場合のみなし弁済)
などである。
なお1999(平成11)年12月に「出資法」とともに罰則強化を含む改正が行なわれ、2000年6月1日から施行されている。
貸金業協会
貸金業規制法により設立された社団法人で、47都道府県ごとに置かれ、その区域内の貸金業者を会員とする。
加入は貸金業者の任意である。
その目的として、①法令遵守のための会員に対する指導・勧告、②債務者等からの苦情の解決、③従業員に対する業務研修の義務づけ、④過剰貸付の防止などが掲げられている(同法25条)。
全国レベルではこの協会を会員とする全国貸金業協会連合会がある。
なお貸金業協会の会員には消費者金融業者だけでなく、「手形割引」「不動産担保」などの金融業者が含まれる。
貸金業者
貸金業規制法により、内閣総理大臣または都道府県知事の登録を受けて貸金業を営む者のことである。
貸金業とは金銭の貸付または金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付、または当該方法によってする金銭の授受の媒介を含む)を業として行なうものをいう(同法2条)。
ただし、①国または地方公共団体が行なうもの、②他の法律に特別の規定のある者が行なうもの、③物品の売買・運送・保管または売買の媒介業者がその取引に付随して行なうもの、④事業者がその従業員に対して行なうものなどは除外される。
すなわち郵便局、銀行、信用金庫、保険会社、商社などとは区別され、個人金融中心の消費者金融会社、信販会社、クレジットカード会社、企業金融中心の商工ローン会社、リース会社など多様な業態が含まれる。
貸金業者の業務運営に関するガイドライン
1998(平成10)年6月に、それまでの大蔵省銀行局長の「貸金業者の業務運営に関する基本事項について」通達の廃止に伴ない、金融庁が発出した事務ガイドラインである。
貸金業着の業務運営に関する通達
1983(昭和58)年9月30日に大蔵省銀行局長が出した通達である。
正式名称は、「大蔵省銀行局長通達第2602号、貸金業者の業務運営に関する基本事項について」となっている。
この通達は「登録」、「業務」、「貸金業協会」の3つの事項から成っており、具体的な用語の定義や業務規則を説明したものである。
なお、この通達は1998(平成10)年6月に廃止されたが、その内容は省令や金融庁の事務ガイドラインに引継がれている。
貸付条件の広告規制
貸金業者が貸付条件を広告する際の規制である。
貸金業規制法15条では、「貸金業者は、貸付の条件について広告をするときは、内閣府令で定めるところにより、貸付の利率その他内閣府令で定める事項を表示しなければならない」としている。
なお同法14条では、営業所または顧客の見やすい場所に、①貸付の利率、②返済の方式、③返済期間および返済回数、④その他、内閣府令で定める事項を掲示するよう義務づけている。
貸し手責任
貸付(融資)・管理・回収の過程で、金融機関に発生する責任を指す。
金融システム自由化の動きが「自己責任原則」に基づいていることに伴ない、貸し手、借り手双方の責任範囲について議論が活発化してきている。
現在、これを定義する内容は定まっていないが、商品内容・契約内容・リスクの説明義務(特に顧客が不利益を得る可能性のある内容について)が主に取りあげられている。
また多重債務への対応としての過剰融資防止措置についても貸し手責任の一部として指摘する意見もある。
過剰貸付/過剰融資
融資申込者の返済能力を超えた金額を貸し付けることである。
過剰貸付等の禁止
貸金業規制法による業務規制の1つである。
貸金業者は、資金需要者である顧客や保証人になろうとする者の資力や信用、借入れの状況、返済計画等について調査し、返済能力を超えると認められる貸付の契約を締結してはならないとされている(同法13条)。
具体的には金融庁の事務ガイドラインで、①簡易な審査で無担保・無保証で貸し付ける場合は、1業者につき50万円または顧客の年収の10%以内とする(年収の10%に相当する金額が50万円に満たない場合は10%基準を採用する)こと、②貸金業者は顧客が必要とする金額以上の借入れを勧誘したり、借入意欲をそそるような勧誘をしてはならないこと、③無担保・無保証の貸付を行なうときは、借入申込書に借入希望金額、既往借入額、年収等の項目を顧客自らに記入させることによりその借入意思の確認を行なうこと、④無担保・無保証の貸付を行なうときは、信用情報機関を利用して顧客の借入状況、既往借入額の返済状況等を調査し、その結果を書面に記録することなどを明示している。
また割賦販売法においても、割賦販売業者は信用情報機関の正確な信用情報に基づき、購入者が支払う賦払金がその支払能力を超えるような契約をしないよう努めなければならない(同法38条)として、過剰な購入の防止を定めている。
過怠破産罪(かたいはさんざい)
破産法に定める債務者に対する罰則の1つである。
債務者が破産宣告の前後を問わず、浪費や賭博などで著しく財産を減少させたり、過大な債務を負うなど一定の行為をして破産宣告が確定したときは、5年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる(同法375条)。
割賦債権
分割販売に伴なって発生する給付(返還)請求権である。
割賦販売条件の表示
割賦販売法3条では、2ヶ月以上かつ3回以上の分割払いで同法で定められている指定商品・指定権利を販売、または指定役務を提供する際には、①現金販売価格、②割賦販売価格、③割賦の期間、④実質年利による割賦販売手数料(金利)の利率、⑤前払式割賦販売の場合は商品の引渡し時期を消費者に明示することを義務づけている。
割賦販売の標準条件
割賦販売法で定められているもので、経済産業大臣は「指定商品」ごとに、割賦代金や支払期間を定め、これを告知することができる。
この場合の条件を「標準条件」と呼ぶ。
例えば景気が過熱気味の時は、乗用車の頭金の比率を大きくし、かつ支払期間を24回払いから20回払いに短縮させるなどの条件を定めることがある。
これに従わない割賦販売業者に対しては、大臣が「勧告」する権限をもつ(割賦販売法10条)。
割賦販売法
1960(昭和35)年制定(施行は昭和36年)の割賦販売に関する法律である。
1984(昭和59)年および1988(昭和63)年の法改正により、リボルビングシステムによるカード、個品割賦購入あっせん等が新たに規制対象になり、抗弁権の接続やクーリングオフ期間の延長、指定商品の品目増加など、消費者保護の色彩を一段と強くした。
また2000(平成12)年11月には、訪問販売法(特定商取引法に改正)とあわせ、情報通信技術を利用した取引に関する規制等が新たに設けられた。
割賦販売法の要点は下記のようになっている。
①販売条件の表示と書面交付の義務づけ・・・指定商品(指定権利・指定役務を含む。以下同様)の割賦販売等および割賦販売等の広告にあたっては、現金販売価格、割賦販売価格、代金の支払方法、商品の引渡し時期などの表示と、契約の際にはそれらを記した「書面」を交付しなければならない。なお2000年の改正では情報通信の技術を利用した書面の交付等も認められた。(通用対象=割賦販売、割賦購入あっせん、ローン提携販売)
②クーリングオフ期間の設置・・・店舗外での指定商品の割賦販売等においては、前項の書面を受け取った日から8日間の無条件解約が認められた。(適用対象=割賦販売、割賦購入あっせん、ローン提携販売)
③業者側が行なう契約解除の制限・・・指定商品の割賦販売等の支払いが遅延した場合、業者側は20日間以上の猶予期間を置いて書面で催促し、それでも支払われないときでなければ契約解除(期限の利益の喪失の宣言)ができない。(適用
対象=割賦販売、割賦購入あっせん)
④抗弁権の接続・・・指定席品を割賦購入あっせんで購入したが、欠陥商品であったり契約内容と異なっていた場合は販売店に対して言い得る主張を、信販会社(割賦購入あっせん業者)にも主張でき、代金の支払いを停止できる。
2000年の改正では、業務提供誘引販売取引(内職・モニター商法)についても通用されることになった。(適用対象=割賦購入あっせん)
⑤遅延損害金の制限・・・債務不履行による契約解除の場合だけでなく、契約を解除しないで残金の支払いを受ける場合でも、遅延損害金の「割増し分」は年6%(商事法定利率)に制限する。(適用対象=割賦販売、割賦購入あっせん)
⑥割賦購入あっせん業者の登錦制・・・従来は分割払いカードの発行業者のみが適用されていたが、リボルビングカードの発行業者(中小チケット団体等を除く)についても登録が必要になった。
加盟店規約
クレジットカード会社または信販会社が加盟店との間で締結する規約のことである。
仮差押え
債権者が債務者の財産を確保し、将来の強制執行(本差押え)を保全するために行なわれる暫定的な差押えの処分をいい、仮処分とともに民事保全法に規定がある。
仮差押命令は金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるときや強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに、特定の物を対象にして発令される(民事保全法13条)。
その申立てには、被保全権利の存在と保全の必要性を疎明することが必要である。
債務者に心理的圧迫を加え、返済を促す手段として利用されることも多い。
仮執行宣言付判決
未確定の判決に執行力を与える裁判を「仮執行宣言」といい、これが付された判決を仮執行宣言付判決という。
仮執行宣言は財産上の請求に関する判決に限って付され(民事訴訟法259条1項)、「この判決は仮に執行することができる」と判決主文に掲げられる。
仮執行宣言付判決を債務名義として執行文の付与を受ければ、強制執行ができる。
仮執行免脱の宣言
仮執行宣言付判決の主文中で「この判決は金○○円の担保を供したときは仮執行を免れることができる」旨を宣言する裁判をいう(民事訴訟法259条3項)。
担保の提供によりその効力が生じ、仮執行宣言付判決に基づく強制執行は停止される。
仮登記
不動産の登記において、登記の申請に必要な手続上の要件が具備されない場合(1号仮登記)や、所有権や抵当権などの設定・移転・変更・消滅の請求権を保全しようとする場合(2号仮登記)になされる登記をいう(不動産登記法2条)。
仮登記自体には対抗力がないが、本登記の順位を保全するためになされる(同法7条2項)。
仮登記仮処分
不動産の登記において、登記義務者が登記手続に協力しない場合に、登記権利者の単独申請で仮登記をすることを認める裁判所の仮処分命令である(不動産登記法32条、33条)。
仮登記仮処分命令により仮登記をすることで、本登記のために順位を保全することができる(同法7条)。
仮登記担保
仮登記の順位保全の効力を利用した特殊な担保制度である。
債権者が代物弁済の予約の形式をとり、債務者または第三者の不動産に所有権移転請求権保全の仮登記をし、債務不履行の場合にはその予約を完結させることで、債権者がその不動産の所有権を取得するというものである。
かつては抵当権との併用または単独で金融取引に利用されたが、目的物の丸取りなど種々の弊害が問題とされ、最高裁昭和49.10.23大法廷判決をはじめとする一連の判例の変遷の後に1978(昭和53)年6月、仮登記担保契約に関する法律の成立をみた。
期限
契約など法律行為の効力の発生・消滅または債務の履行期を将来確実に発生する事実にかからせる一種の制限(附款)をいう。
その事実が確実に発生する点で条件と異なる。
危険負担
売買などの双務契約において、一方の債務が当事者のどちらの責めにもよらないで履行不能になった場合、その損失をどちらが負担するかということを指す。
建物の売買契約のように特定物に関する物権の設定や移転を目的とする双務契約では、建物の引渡し前に建物が類焼するなど債務者(売主)の責めに帰せられない事由によって目的物が滅失・毀損した場合は、債権者が損失を負担し(民法534条1項)、それ以外の場合は債務者が負担する(同法536条)。
管理人
他人の財産を管理する者のことを指す。
契約による委託を受けた委託管理人、裁判所により選任された選任管理人、法律で定める法定管理人がある。
民法では選任管理人として不在者の財産管理人(27条)、相続財産の管理人(859条等)などがあり、法定管理人としては親権者、後見人がある。
民法以外の選任管理人としては、会社整理における管理人(商法398条1項)、会社更生や民事再生における保全管理人(会社更生法40条、民事再生法79条)などがあげられる。
期限の利益喪失条項
債務者に信用悪化や不信行為があった場合には、債務者は期限の利益を失い、直ちに債務を返済する旨の特約をいう。
民法では債務者の破産、担保の毀滅・減少、担保提供義務の不履行を喪失事由とする(同法137条)が、金融取引では支払いの停止、破産・民事再生などの申立て、手形交換所の取引停止処分などを喪失事由として定めている(銀行取引約定書5条など)。
また割賦販売法では、20日以上の相当な期間を定めて催告し、返済がなかったときでなければ、期限未到来の賦払金の支払を請求することができない(同法5条)と定めている。
求償権
他人が負担すべき出捐(金銭の交付)をした者がその他人に対して償還を請求する権利である。
保証人や連帯債務者の1人が債務の弁済をした場合に、主たる債務者や他の連帯債務者に対して償還を請求する場合が一般的である。
法律の定め(民法460条)や特約により、主たる債務者に一定の事由が生じた場合に、保証人としてあらかじめ求償できる事前求償権の例も実務上少なくない。
給与所得者等再生
小規模個人再生とともに、民事再生法に定める個人再生手続の1つで、給与所得者や自営業者などを対象とする。
住宅ローンを除く借入債務の総額が3,000万円以下で、給与または定期的な収入を得る見込みがあり、その額の変動の幅が小さいと見込まれることが要件である(民事再生法239条、221条)。
キャピタルゲイン
土地・減価償却の対象となる有形固定資産(例えば建物や機械等)、投資有価証券、ならびに無形固定資産(特許権や著作権等)などの資本的資産の取引から生ずる利益のことである。
最近では「有価証券譲渡益」と狭義的に訳される場合が多い。
なお、1989(平成元)年4月からの税制改革で、有価証券の売却益は課税対象になった。
強制執行
確定判決などの債務名義に表示された私法上の請求権を、強制的に実現させる裁判手続きのことである。
民事執行法第2章に規定があり、金銭債権についての強制執行と、金銭債権以外の債権についての強制執行に大別される。前者は①不動産に対する強制執行、②船舶に対する強制執行、③動産に対する強制執行、④債権・その他の財産権に対する強制執行に区分され、①はさらに強制競売と強制管理に分類される。
担保権の実行としての競売は強制執行に関する規定がほとんど準用されるが、債務名義を必要とせず、また強制管理が認められない点で異なっている。
供託
金銭、有価証券その他の物について供託所、または特定の倉庫営業者・銀行に管理を委ね、債務の弁済等一定の法律上の目的を達しようとする制度である。
供託を義務づけたり、許容する法令の規定は多岐にわたっており、弁済供託、保証供託、執行供託、保管供託といったものがある。
手続きは供託法、供託規則に規定されている。
供託法
債務者が弁済しようとしても債権者が受領を拒んだような場合に、債務者は供託所に金銭、有価証券などを供託することによって債務を解消することができる。
このような供託の手続きについて定めているのが供託法である。
明治32(1899)年公布、その後数回にわたり改正されている。
なお広義には、供託手続法規を総称して供託法という場合がある。
許可割賦販売業者
割賦販売法11条で定められている「前払式割賦販売業者」のことである。
同法により指定商品を引き渡すに先立って購入者から2回以上にわたり、その代金の全部または一部を受領する割賦販売業者は、経済産業大臣の認可を得なければ営業できないと規定されている。
金銭消費貸借の予約
将来、金銭消費貸借契約(本契約)をなすべきことを約する契約をいう。
金銭消費貸借は金銭の交付を成立要件とする要物契約(民法587条)とされるが、この予約は当事者間の合意により成立する諾成契約であり、予約義務者(貸り手となる者)は予約権利者(惜し手となる者)に対し本契約を締結する義務を負うことになる。
この点で諾成的消費貸借と異なる。
予約成立後、当事者の一方が破産宣告を受けたときは、予約はその効力を失う(同法589条)。
禁反言(きんはんげん)の原則
既に表明した自己の言動に対し、それと矛盾する言動をなしえないとする証拠法上の原則である。
民法や商法上、このような法理が広く制度化されている(民法93条、94条2項、商法14条など)。
グレーゾーン
民事上の判断基準を示す「利息制限法」は、貸出上限金利を年15~20%(契約金額により異なる)としているが、刑事罰により契約行為を禁止される基準となる出資法の上限金利は29.2%となっている(2000年6月改正)。
この2法の間の金利帯を「グレーゾーン」と呼ぶことがある。
この金利帯での契約は、利息制限法では「任意の支払いの場合有効」としており、貸金業者は貸金業規制法43条でグレーゾーン範囲内の金利が有効となる条件を定められている。
形成権
権利者の一方的な意思表示によって一定の法律関係を発生させる権利のことである。
賃貸借契約などの解約権、債権者取消権(民法423条)、予約完結権などがその例である。
請求権、支配権に対する概念である。
契約自由の原則
個人は社会生活において、その意思に基づいて自由に契約関係を結ぶことができ、国家はこれに干渉してはならないという原則である。
私的自治の原則と並ぶ近代私法の原則の1つである。
①契約締結の自由、②相手方選択の自由、③契約内容決定の自由、④契約形式の自由からなっている。
ただし、今日では経済的弱者の保護や大量的取引の要請などから労働契約、借地・借家契約や保険契約、運送契約などのように、この原則に制限が加えられている。
契約手数料
契約締結のための費用である。
金銭消費貸借契約においては、①その融資の金利が利息制限法以内のもので、②かつ、その費用が印紙代、抵当権設定料、公正証書作成料など公的な費用に限って契約締結の費用として利息以外に徴収することを認めている。
契約の解除
契約が有効に成立した後に、当事者の一方の意思表示により契約関係を当初にさかのぼって消滅させることである。
一方の当事者の意思表示で契約を解消する点で、当事者双方の合意で契約を解消する「合意解除」と区別され、契約関係が初めからなかったと同様の効果を生ずる点で、契約関係を将来に向かって解消する「解約」と区別される。
契約の解除権
契約当事者の一方が、相手の意思にかかわらず契約を解除できる権利である。
一般的に契約の解除には当事者間の合意に基づく「合意解除」と、一方の当事者が「契約の解除権の行使」によって行なうものがある。
この解除権には、約定解除権(契約上発生する解除権)と決定解除権(相手方の債務不履行により発生する解除権)とがある。
割賦販売契約における与信業者側の契約の解除権は、①返済期日が過ぎて、20日以上の相当な期間を定めて催告しても返済がなかった場合、②手形不渡り、破産など債務者の信用状態に重大な変化(悪化)があった場合、③債務者が重大な契約違反を犯したときなどであり、それらの条項は契約書に盛り込まれている。
一方、受信者(債務者)側に属する契約の解除権は、①実際に受け取った商品が、見本やカタログと相違している場合、②クーリングオフ(8日間以内のキャンセル)が適用できる契約の場合などがある。
考査
信用秩序の維持・育成を目的として、日本銀行が個別金融機関に立入調査を行なってその資産・負債内容や事務処理の状況を掌握し、必要に応じて指導・助言を行なうことである。
この日銀考査は、日本銀行法により取引先の金融機関との契約に基づいて行なわれる。
公示催告
有価証券(手形、小切手など)を紛失した場合などに、紛失した手形・小切手を「無効」にし、さらに手形、小切手なしに債務者に対して権利行使をするには、公示催告によって裁判所から除権判決を得る必要がある。
公示催告は簡易裁判所の専属管轄とされ、裁判所は官報または公報に掲示を出し、公示催告期間(6ヶ月)内に第三者から権利の届出がなければ、除権判決を出す。
公示催告期間中に第三者からの届出があった場合、その者が善意の第三者であるかどうかが、争われることになる。
原本
作成者がある一定の内容を表示するために確定的なものとして作成した文書である。
原本には、通常、作成者の署名押印があり、また公文書の場合には法律上、一定の場所に保存することを要求されることがある。
公示送達
送達とは当事者をはじめとする訴訟関係人に対し、訴訟に関する書類の内容を知らせるため、法定の形式に従ってその書類を交付する裁判所の行為である。
「公示送達」は、裁判所書記官が送達する書類を保管しておいて、送達を受ける者が出てくれば、いつでもそれをその者に交付することを、裁判所の掲示場に掲示することによって行なう送達方法である。
当事者の住所が知れない場合など、送達の方法がないときにとられる。
送達書類の交付ができなければ訴訟手続きが進まないため、交付の機会を与えることを公示し送達したことにする制度で、最後の手段としてなされる。
権利能力
権利・義務の主体となりうる資格のことで、法的人格または法人格ともいう。
自然人と法人がこの権利能力を有する。
自然人は出生により権利能力を取得し(民法1条の3)、法人は社団、財団が成立したときに権利能力を取得する(同法33条、43条)。
公正信用報告法(FCRA)
米国の消費者信用保護法の第6編を構成する法律である。
1970年に制定、1971年に施行されており、個人信用情報機関に関する法律である。
消費者保護と同時に、クレジットビューローの保護も盛り込んでいる。
具体的には情報提供先の制限、情報の償却年限(ネガティブ情報は通常7年、破産宣告は10年以上経過したものは提供してはならない)、消費者からの問合わせ、異議申立てによる情報内容訂正システムなどである。
公証人
法務大臣の任命により法務局に所属し、公証人役場で法律行為に関する事実について、「公正証書」を作成し、私署証書に認証を与える等の権限を有する公務員である。
公信の原則
登記や占有などの外形上の事実を信頼した者の権利を認め、これを保護する制度で、「動的安全」ともいう。
動的安全とは、新たに取得する権利・利益を保護する法的制度のことで、これに対し既存の権利・利益を保護しようという制度のことを「静的安全」という。
口頭弁論
あらかじめ定められた期日に、公開法廷で当事者双方が対席し、裁判所に対して直接、口頭により弁論、証拠調べを行なう手続きでえある。
その経過を公証するため、裁判所書記官が期日ごとに作成する書類を「口頭弁論調書」と呼ぶ。
抗弁
民事訴訟における相手方の攻撃に対する防御の方法の1つで、原告の主張する事実を単に否認するのではなく、訴求の棄却をもたらす別の新たな事実を主張することである。
原告がこれに対し、さらにこれを排斥する事由を主張することを「再抗弁」と呼ぶ。
公正債権回収法
米国の消費者信用保護法の第8編として1977年制定、1978年施行された法律で、クレジット業者や回収業者が消費者から債権を取り立てる際の業務を定めたものである。
例えば、①督促は葉書でしてはならない、また封書であったとしても本人が差出人からお金を借りていることがわかるようなものは禁止、②本人以外に督促してはならない、③同一人に対して、2回以上同じことを尋ねることの禁止、④消費者が弁護士を代理人としたときは弁護士以外に連絡を取ることを禁止、⑤勤務先での取立ての連絡を禁止しているといわれたら、回収者は勤務先に2度と連絡してはならない、⑥債務者の同意なく午後9時以降、午前8時前に連絡を取ってはならない、などが定められている。
抗弁権(支払停止の)
請求権の行使に対して、その作用を阻止しうる権利である。
割賦販売取引において、返済を一度棚上げすることにより、消費者が信販会社(クレジット会社))に対抗する権利でもある。
クレジット(割賦購入あっせん契約)で商品を購入したが、商品が届かなかったり、見本と違っていたり、瑕疵あるいは欠陥があるといった売り主との間で未解決の紛争が生じている場合、購入者はそれを理由としてクレジット会社への支払いを拒むことができる。
この権利のことを(支払停止の)抗弁権という。
昭和50年代後半に個品割賦購入あっせん契約をめぐるトラブルが激増したこともあり、旧通産省は昭和59年の割賦販売法の改正作業の中で、「消費者の抗弁権は信販会社にも及ぶ」という消費者保護策を打ち出した(割月武販売法30条の4)。
売り主に対してだけでなく、クレジット会社に対しても(支払停止の)抗弁権を主張することができるため、「抗弁権の接続」と呼称されている。
抗弁権が接続される条件としては、①購入者が「商行為」として購入した物品でないこと(例えば自動販売機などは不可)、②割賦購入商品の支払総額が4万円または、リボルビングカードの場合は現金販売価格が3万1,000円以上であること、 ③購入した商品が割賦販売法で定める「指定商品」であることなどが定められている。
なお責任が売り主のみにあり、信販会社(クレジット会社)は未払いの分割金を契約どおり請求することができることを、「抗弁権の切断」(抗弁権が信販会社には及ばないという意味)という。
公正証書
一般には公証人が、公証人法に基づいて当事者の要請により作成した法律行為(例えば契約)に関する証書で、訴訟において強い証拠力を持つ。
また債務者の執行認諾文言のある公正証書は債務名義と認められ、債権者は支払命令や判決などの時間を要する裁判上の手続きを経ないで強制執行ができる。
公正信用請求法(FCBA)
米国の消費者信用保護法第1編の真正貸付法の追補編として制定された法律で、「公正信用勘定法」と訳す場合もある。
クレジットカードの請求業務に関する消費者保護法である。
米国のクレジットカード会員は、同法により「抗弁権」を認められている。
FCBAの主な内容は、下記のとおりである。
①カード利用の請求書に誤りがあると思う場合は、請求書が来てから60日以内に、氏名、口座番号、誤りがあると思われる事情と理由などを、カード会社に書面で知らせなければならない。
②返答を待っている期間は、当該部分の支払いは猶予される。
③カード会社は30日以内に、通知書面受領の通知を出し、2回の支払期限(かつ90日以内)に請求勘定を訂正するか、元の請求書が正しい場合は、その理由をカード会員に通知しなければならない。
④カード会社は顧客から通知書面に対する返答が来るまでは、回収行為やクレジットの利用制限をしてはならない。
⑤カードで購入したサービスや商品に欠陥があった場合、その店がカード会員の現住所の100マイル以内で、かつ購入額が50ドル以上のときは、加盟店との問題を解決することを条件に返済額の支払いを中断(差し控える)することができる。
小切手
振出人が自分の当座預金口座から、小切手の所持人または名宛人に所定の金額を支払うよう、当座預金口座のある銀行に対して発行する有価証券で、小切手法に規定されている。
原則として小切手の有効呈示期間は振出日から数えて10日間と短い。
また小切手の振出日が先の日付であっても、10日以前に持って行けば銀行は即座に支払うことになっている(小切手法28条2項)。
また持参した日が呈示期間(10日間)を超えていても、銀行は振出人と連絡をとって、承諾を得れば支払ってくれる。
小切手と手形の最大の相違点は、小切手の場合は「即時支払い」である現金の代用物であるのに対し、手形の場合は「満期日または支払期日」とそれに続く2日間の合計3日間に呈示きれた場合に支払う信用証券である点である。
小口金融法
小口の金銭貸付に関する法律である。米国においてはイーガン・アクトが代表的である。
日本にはこれと同様の法律はないのである。
個人再生
民事再生法は、法人、個人を問わず利用できる再建型の手続きであるが、住宅ローンの特別とともに、とくに個人の多額債務者のための特別を設けたものである。
これを個人再生または個人債務者再生といい、小規模個人再生と給与所得者等再生の2つの手続きがある。
これにより、個人債務者の法的救済利度は従来の破産・免責、通常の民事再生、小規模個人再生、給与所得者等再生の4つに選択肢がひろがった。2001(平成13)年4月施行されたのである。
個人情報保護法案
収集した個人情報の転売や流出などを防止し、個人のプライバシーを保護するため、企業や個人に個人情報の適切な取扱いを義務づける法律案である。
国会で「個人情報の保護に関する法律案」(個人情報保護法案)の審議が行なわれたが、現状の法案では報道や表現の自由を侵害するおそれが指摘され、 2002年11月時点で継続審議扱いとなっているのである。
個人信用情報機関(個人信用情報センター)
個人のローン、クレジット契約内容に関する情報を登録し、加盟会員がその情報を照会することで過剰融資の防止を図るために設置された情報機関である。
貸金業規制法、割賦販売法では過剰貸付等の禁止規定の中で個人信用情報機関の利用を定めているのである。
また、情報を登.録された個人は自己の内容について開示を受ける権利があり、その内答が間違っている場合には調査の上訂正、削除をすることができるのである。
日本の個人信用情報機関には,全国銀行協会加盟の金融機関を中心とする全国銀行個人信用情報センター(全銀協)、販売信用分野の(株)シ-・アイ・シー(CIC) 、消費者金融専業会社が各地で設立した33の信用情報機関の連合体である全国信用情報センター連合会(全情連)、外資系・国内消費者金融専業会社と信販会社などが利用している業態横断的な(株)シーンービー (CCB)がある。
1987(昭和62)年3月から、各業態における与信の適正化を目的として、銀行系の全銀協、信販系のC I C、全情連系の(株)日本情報センター (JIC)の3機関が、異動情報(長期延滞情報・法的整理情報など)のみを交流するシステム を運営しているが、業態間の垣根がなくなり債務が複合化する状況が進展するに伴ない、3機関での交流情報内容の拡大が議論されてきたのである。
この問題に対応する形として、全情連では消費者金融業界以外の業態(クレジット会社など)を会員対象とする新機関(株)テラネットを2000年12月から稼働させている。
個人データの保護(個人信用情報の保護)
保護する必要のある個人情報とは、個人に関するデータであり、当該個人を特定識別できるものをいうのである。
具体的には、氏名、生年月日、電話番号、勤務先、住所などの個人情報に、銀行、信販会社、消費者金融業各社の利用状況や返済(支払い)の実績などを加味したものが「個人信用情報」となる。
情報保護における留意点について、1982(昭和57)年に行政管理庁で「プライバシー保護研究会」が開催され、「個人データ処理に伴うプライバシー保護」と題する報告書が出されてるのである。
その報告書の中に、 ①収集制限、 ②利用制限、③個人参加、④適正管理、⑤責任明確の5原則がまとめられており、個人信用情報の指針とされているのである。
個人破産
個人債務者に対して裁判所が破産宣告をすることである。
個人債務者が支払不能または支払停止となった場合において、本人または債権者の申立てによってなされる(破産法126条)である。
本人申立ての場合を自己破産といい、多重債務による消費者破産の多くが自己破産である。
破産者の財産が少なく、破産費用(管財人の報酬など)も払えないような場合には、裁判所は職権により、あるいは本人の上申により破産宣告と同時に「破産廃止」の決定を行なうのである。
これを「同時廃止」といい、これに対し破産宣告後、破産手続きが進行中に破産費用が賄えないことが明らかになった場合、その段階で破産が廃止されるのである。
これを「異時廃止」というのである。
「同時廃止」になった債務者は、債権者からの取立てや請求を免れるため、「免責の申立て」を行なうことが多いのである。
裁判所は、「免責不許可事由」に該当していないかどうかを判断し、「免責決定」を行なうのである。
免責決定があると、債務者はすべての債務について責任を免れることになり、同時に破産宣告による身分上の制限などがすべて消え、元の身分に復権するのである。
免責不許可事由とは、①破産財団に属すべき財産(破産宣告時の一切の財産)を隠匿、毀葉または債権者に不利に処分した場合、②浪費、賭博で債務を過大にした場合、③破産宣告の1年前以内に返済が困難であるにもかかわらず詐欺的言動により、信用取引で財産を取得した場合、④虚偽の債権者名簿を提出したり、裁判所に対して財産状態について虚偽の陳述をしたとき、⑤免責申立て前10年以内に、「免責決定」を受けている場合、などである。
誇大広告の禁止(貸金業の)
貸金業者が業務に関して広告する際の規制である。
貸金業規制法は15条で、契約条件について広告に掲載することを求める一方で、16条では事実と異なる条件の掲載など誇大広告の禁止が定められているのである。
また、施行規則では次に掲げる広告をしてはならないことを定めているのである。
①不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律134号)、屋外広告物法(昭和24年法律189号)3条1項の規定に基づく都道府県の条例その他の法令に違反する広告
②次に掲げる表示をした広告
(イ)顧客を誘引することを目的とした特定の商品を主力商品であると誤解きせるような表示
(ロ)他の貸金業者の利用者または返済能力がないと思われる者を対象として勧誘する旨の表示
(ハ)無条件または無審査で借入れが可能であると誤解させるような表示
(ニ)借入れが容易であることを過度に強調し、または実際よりも軽い返済負担であると誤解きせることにより、資金需要者の借入意欲を そそるような表示
(ホ)貸付の利率以外の利率が貸付の利率より目立つような表示
誇大広告の禁止(訪問販売の)
特定商取引法(2000年、訪問販売法を改称)で定められている、訪問販売、通信販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引に関して広告する際の規制である。
「販売業者または役務提供事業者は、指定商品・指定権利の販売条件または指定役務の提供条件について広告をするときは、当該商品の性能または当該権利・役務の内容等について、著しく事実に相達する表示をし、または実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認きせるような表示をしてはならない」とされている(同法12,36,43,54条)。
誇大広告とは、例えば、「このセットを購入して内職をすれば、すぐに10倍、20倍の収入が得られます」などと広告することである。
サービサー
債権回収専門業者のことで、1999(平成11)年2月施行のサービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)に基づき、債権回収を専門に行なう会社である。
「スペシャルサービサー」ともいわれているのである。
従来は、債権回収業は弁護士でなければできなかったが(弁護士法72条、73条)、この法律により、新たに許可を得た専門業者が業として行なうことを認められたのである(固持法3条)。
サービサーは法務大臣の許可が必要であり、資本金は5億円以上で取締役に最低1名以上の弁護士を選任しなければならないのである。
2002年9月現在、サービサーは67社あり、取扱債権の種類については、法人、リテール、信販、リースなどがあるのである。
銀行系、信販、カード会社系においてはは、「受託回収」を中心に事業展開し、消費者金融系では「債権買取り」に注力しているといわれているのである。
新規事業では、直接調達の主流に躍り出た証券化に絡むバックアップサービシング業務の拡大が注目されている。
債権管理組合
組合方式による債権回収組織である。
サーピサーは資本金5億円以上など法の要件を充たし、法務大臣の許可を受けた企業のため、金融機関など大規模企業をユーザーに規模の大きい取扱いを行なうが、債権管理組合は小規模ユーザーが組合員となって共同で債権回収を行なうという方式をとることで法の規制を受けないのである。
錯誤
人が認識したところと認識した対象である事実が一致しないことをいうのである。
契約などの法律行為の重要な部分である要素に錯誤があるときは、その意思表示は無効となるのである。(民法90条)
シーリング
概算要求基準、各省庁が例年8月までに財務大臣に次年度予算の概算要求を行なうに際し、安易な予算要求を抑え歳出規模の膨張を防ぐ見地から、閣議了解により定められた要求の基準(概算要求基準-ceiling枠)である。
昭和36 (1961)午度から経済・財政事情の推移等を総合的に勘案して決定されてきたが、昭和57 (1982)年度には概算要求を対前年度同額に抑えるゼロ・シーリング、さらに58年度は56年度の税収不足等厳しい財政事情を勘案して一部の例外を除き57年度予算額から5%削減した範囲内に留めるマイナス・シーりング(投資的経費は前年度同額)、59年度からは10%減(投資的経費は5%減)が導入された63 (1988)年度からは投資的経費は前年度同額に緩和されているのである。
時効
一定期間内に権利を行使しなかった権利者の権利が消滅する期限、あるいはその制度のことである。
時効には、一定の要件に従って他人の所有物を取得する権利が生じる「取得時効」と、権利が消える「消滅時効」とがある。
実印
住民票のある市町村、区役所に印鑑登録をしてある印章をいうのである。
実印は、契約相手が「本人」であることを証明する意味をもつのである。
このため、印鑑証明書と実印は、通常併せて利用されるのである。
習慣上、重要な取引に利用される。
執行官
各地方裁判所に配置され、法律の定めるところにより裁判の執行、裁判所の発する文書の送達などの事務を行なう国家公務員である。
強制執行など、民事執行においては、執行官は執行裁判所と並んで執行機関とされ、法律の規定によって動産執行や不動産などの明渡し・引渡し執行等を担当するのである。
私的整理に関するガイドライン
経常困難な状況にあるが早期に再建の可能性のある企業について定めた私的整理の準則である。
金融界、産業界、学識経験者からなる研究会(私的整理に関するガイドライン研究会)が2001(平成13)年9月に策定公表したのである。
会社更生や民事再生などによったのでは債務者企業の事業価値が著しく損なわれるような場合に、金融機関等と債務者との合意に基づき債務の猶予・減免などを行ない迅速な再建を図るもので、 2002(平成14)年11月現在、岩田屋(福岡市)など数社がこの準則によって再建中である。
事務ガイドライン
ガイドラインは政策、施策などの指標・指針をいい、旧大蔵省の事務ガイドラインにおいては、財政局などの直接監督機関が統一的な対応を図るためにまとめたもので、法令解釈や内部手続、業務の健全性に関する着眼点などから成るものである。
1998 (平成10)年6月8日、大蔵省は金融関連通達を廃止し、これに伴ない、通達のうち認可・承認の審査基準や提出書類の様式、手続を定めているものは省令・告示に明記し、それ以外の留意事項を「事務ガイドライン」としてまとめたものである。
貸金業関係の事務ガイドラインは、 ①登録の申請・届出関係、 ②業務関係、 ③報告書関係、 ④貸金業協会に対する監督、 ⑤信用情報関係、 ⑥参苦情処理関係、 ⑦貸金業関連連絡会の設置の7項目から成っているのである。
なお、この事務ガイドラインは、同年6月22日、金融監督庁の設置に伴ない同庁(2000年7月からは金融庁)に移管されたのである。
終局判決
訴えまたは上訴により係属する事件の全部または一部につき、その審級の審判を完結する判決をいうのである。
その審級の手続きを完結するものであるから、上級審の差戻し判決または移送判決も終局判決となるのである。
住民税
地方団体が課する普通税の1つ。都道府県民税と市町村民税(特別区民税)から成り、いずれも個人および法人の所得を課税対象とするものである。
1948 (昭和23)年の地方税法(1950年改正)により定められたのである。
出資法(出資の受入れ.預り金及び金村等の取締りに問する法律
1954(昭和29)年制定、施行、出資の受入れの制限、預り金の禁止、浮貸しの禁止、媒介手数料の制限、高金利の処罰から成るのである。
クレジット・消費者金融業界に関連する項目として、
①業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除くほか、何人も業として預り金をしてはならない
②金銭の貸借の殊介を行なう者は、その媒介に係る貸借の金額の100分の5に相当する金額を超える手数料の契約をし、またはこれを超える手数料を受領してはならない
③金銭の貸付を行なう者が業として金銭の貸付を行なう場合において、年29.2パーセントを超える割合による利息の契約をし、またはこれを超える割合による利息を受領したときは3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するという規定がある。
①については,貸金のための資金調達として社債・ CPを発行することを禁じたものであるが、 1999 (平成11)年施行のノンバンク社債法により同法に基づく登録企業は社債・ CPの発行を行なえるようになったのである。
③の高金利規制においては、1954 (昭和29)年当時109.5%に定められていたが、 1983 (昭和58)年11月の貸金業規制法施行と同時に40.004%に引き下げられ、その後2000年6月から29.2%に引き下げられたのである。
また、出資法の「金利」には、手数料ほかどんな名目であっても、受け取る金銭はすべて利息とみなして金利に包含計算しなければならないため、真の意味での金利分はさらに低くなるのである。
収得時効
一定期間内に所有権を取得できるという時効である。
民法162-165条で規定されているもので、①20年間所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を所有していれば、その所有権を取得できる、②10年間所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の不動産を占有した者は、その占有の当初に善意にしてかつ過失がなければ、その不動産の所有権を取得する、などをいうのである。
少額訴訟
訴額30万円以下の金銭支払いを請求の目的とする訴訟で、同一簡易裁判所において同一年に10回に限るものとされたのである。
この手続きでは反訴を提起できないし、原則として第1回期日で審理を完了して、口頭弁論終結後直ちに判決を言い渡すのである。
認容判決の場合、事情により3年以内の支払期限猶予または分割払いを定めることができ、分割払い判決の場合、遅滞なく元本を完済したときは、訴え提起後の遅延損害金を免除する旨を定めることもできるのである。
判決に対する控訴は認められず、異議申立て(2週間以内)のみ認められるのである。
承継執行文
強制執行手続上の用語である。
債務名義に表示された当事者以外の者を執行債権者または執行債務者とする旨を明らかにするための執行文である。
執行証書は、公正証書の作成後の権利・義務の承継者に当然に効力が及ぶとはされていないのである。
そのため、債務名義上に表示されていない承継者を執行手続上の追行者または名宛人とし、当事者の地位を正式に付与するための制度が承継執行文の制度である。
使用貸借契約
当事者の一方が、無償で使用および収益をなした後、返還することを約束して相手方からある物を受け取ることによって成立する契約である。
消費者信用保護法
米国のクレジットに関する消費者保護の連邦法である。
1968年に第1編の真正貸付法が制定されたのである。
それ以降、公正信用報告法、信用機会均等法、公正債権回収法などの法整備が進められたのである。
消費者保護基本法
消費者の保護に関する基本法である。
1968(昭和43)年5月30日制定、消費者の利益の擁護および増進に関する対策の推進を図り、国民の消費生活の安定と向上を確保することを目的とするのである。
この法律に基づいて、内閣総理大臣を会長とする「消費者保護会議」が設置されており、本法の制定を記念して、5月30日を「消費者の日」としている。
消費税
消費一般に課税するもので、付加価値税の一種である。
財貨・サービスの消費の背後に担保があるとして、事業者による商品やサービスの提供などを課税対象とし、取引の各段階ごとに広く薄く課税する間接税である。
1989(平成元)年4月以後の取引から3%の税率で課税されてきたが、1997(平成9)年4月の改正消費税法により、税率が5%に引き上げられ、このうち1%が地方消費税とされるのである。
消費賃借契約
民法587条で規定している契約の形態である。
当事者の一方が他方から金銭などを借り、一定の期日に、これと同等・同種・同量のものを返還するという契約である。
金銭の貸借契約は、最も典型的な消費貸借契約である。
消滅時効
権利者が権利を行使しない状態が一定期間継続した場合、その権利者の当該権利を消滅させる制度。原則として、 ①債権は10年間放置しておくと消える、 ②債権または所有権以外の財産権は, 20年間放置しておくと消える(民法167条)となっているのである。
しかし、これ以外に民法および商法で種々の個別債権について、1年~5年または10年の消滅時効を定めているのである(民法168-174条ノ2、商法522条)。
省令
法律や政令を施行するため、またはその委任に基づき、内閣総理大臣(府令)もしくは各省大臣が発する命令である。
除権判決
公示催告手続において、所定の期日までに催告の目的である請求または権利の届出がなされない場合、催告申立人の利益になるように、従来の法律関係の消滅または変更を行なう判決である。
所得税
年間の個人の所得に課せられる税。法人税・酒税と並んで国税3税の1つである。
給与所得、利子・配当所得などに課せられる源泉所得税と、主に事業所得や不動産所得などに課せられる申告所得税とがある。
所得税の課税所得は、総所得から基礎控除、配偶者控除、扶養控除など各種控除を差し引いた残額である。
初日不算入の原則
期間を定めるのに、「日、過、月、年の単位で定めた場合は、初日は期間に算入しない」という、民法140条で定められた原則である。
「両端利息」の徴収を防止するための概念でもあり、初日不算入の原則で計算した利息は必ず「片端(かたは)」になる。
書面の交付
クレジット申込者などに対して、契約条件等を明記した書類を発行することである。貸金業規制法(17条)および割賦販売法(4条など)では、貸付契約の締結時や、割賦販売(ローン提携販売、割賦購入あっせん契約を含む)で指定商品を販売するときは、融資条件、返済条件、金利などを明記した書面を交付することを義務づけているのである。
所有権
民法の認める物権の1つで、特定の物を支配する権利のことである。
所有権を有する者は、公共的な立場からの制限を除くと、原則として当該物を自由に所有し、利用し、処分できるのである。
所有権留保
割賦販売法7条の「所有権に関する推定」のなかで示されている法概念である。
債権担保の一方法で、商品の売買において、代金が完済されるまで商品の所有権を買い主に移転しないことである。
つまり、割賦販売代金を完済するまでは、その商品の所有権は割賦販売業者にもとに留保しておき、買い主は勝手に質入れや売却ができないということを意味しているのである。
親権者の同意
未成年者との間で交わす契約(金銭消費貸借など)は、「親権者の同意」を得ないと、後日、その未成年者あるいは未成年者の親権者から契約を取り消されることがある(民法4条)。
ただし、未成年者が「自分は満20歳以上である」、「両親の同意を得ている」というような「詐術」を用いて契約したような場合は、こうした「契約取消権」は認められないのである。(同法20条)
審査(judging;examination)
①一定の資格要件を充たしているかどうかを調べて判断することである。
②金融機関が融資実行の可否を決定するために行なう調査のことである。
借入先の信用状態、資金計画、将来性、資金使途等について調査を行ない、融資に伴なうリスク、収益性について評価するのである。
真正貸付法
米国の消費者信用保護法の第1編を構成している法律である。
レギュレーションZとも呼ぶ。1968年制定、1969年7月施行、消費者信用の金利の表示について、実質年利表示を義務づけているほか、クレジットカードで買い物をした場合の、カードホルダーのカード発行者に対する抗弁権の接続を規定しているのである。
信用
信じて用いることである。
確かだとして受け入れ、信頼することであり、給付と反対給付との間に時間的な差がある交換。信用力の高さをクレディビリティといい、信用供与に借するほどクレディビリティが高いことをクレジットワーシーというのである。
信用機会均等法
米国の消費者信用保護法第7編を構成する法律。1976年制定、1977年3月施行、クレジット利用申込者に対して、性別、年齢(18歳以下、62歳以上の場合は除く)、未既婚、人種、肌の色、公的扶助の有無、宗教などによって与信判断にあたり差別することを禁じているのである。
貸し手は申込みがあった場合は30日以内に受諾か拒否の返事を出すことや、消費者から拒否理由を60日以内に尋ねられたら、即座に当該申込者に対する拒否理由を明示することなどが義務づけられているのである。
同法律ではまた、与信者が申込者に対して尋ねてはいけない事項(性別、人種、出産計画など)などを細かく規定しているのである。
ただし、この消費者信用機会均等法は、誰にでもクレジットを利用する権利を供与するものではなく、あくまでも、申込者に対し、同一・公平な与信基準を適用させることを規定したものである。
なお、同法で明示している与信基準としては、①借金の返済能力、②返済意思をあげており、この2条件を審査するために尋ねたり調べたりしてよい事項として、①いくらの収入があるか、②どんな種類の貯蓄や投資を所有しているか、③別途(副)収入の有無、④職業、⑤勤続年数、⑥居住年数、⑦持ち家か借家か、⑧クレジットヒストリー、⑨既存他債務の額、⑲クレジット(借金)の利用頻度、⑪過去の返済実
績などを列挙しているのである。
相続の放棄
相続人が相続財産の承継を拒否する意思表示を言い、限定承認の場合と同様に、家庭裁判所にその旨の申述をしなければならないのである(民法938条)。
相続の放棄をすると、その人は最初から相続人とならなかったものとみなされるのである(同法939条)。
訴状
訴えを起こす際、第一審裁判所に提出する書面、提起の方式は書面によることを要するとされ、簡易裁判所においてのみ口頭による訴提起が許されているのである。
訴状には当事者、法定代理人、請求の趣旨および原因を記載し、相当額の収入印紙を貼付する必要がある。
大数の法則
確率論の基本法則の1つである。
ヤコブ・ベルヌーイ(スイスの数学者)が1713年『推測論』のなかで定式化したものであり、確率計算の母集団が大きくなればなるほど、ある現象の起こる割合(統計的確率)は一定の割合に収斂(しゅうれん)してくるという法則である。
保険料率算定の要素である事故発生率や、クレジットビジネスのリスク管理における貸倒れ発生率も、この法則から導かれるとされるのである。
諾成的金銭消費貸借契約
当事者の合意だけで成立する金銭消費貸借契約のことである。
金銭消費貸借は本来、金銭の交付によって成立する要物契約であるが、カードローンのように一定の限度額内で貸し付け、返済するという合意だけの契約がこれに当たるのである。
多重債務者
本人の返済能力を超えて、複数の業者から借金をしている債務者、既借入金の元利支払いのため、他の業者から追加借入れすることによって、多重債務に陥ることが多いのである。
中途解約
最終期限前に契約を解除することである。
預金の中途解約の場合は、定期預金や定期積金のような期限付きの預金等を満期日前に払い戻すことである。
期限前解約とも言い、定期預金等は満期日以後に払い戻すのが原則であるが、銀行がやむをえないものと認めた場合は満期日前の払戻しに応じているのである。
この場合の利息は、一般に預入日から解約日の前日までの日数および預入期間に応じた利率(中途解約利率)によって計算されるのである。
直接税
税金を納める者と実際に税金の負担者が一致する税金をいうのである。
所得税、法人税、相続税、固定資産税、事業税などがある。
抵当証券
1931(昭和6)年の抵当証券法に基づいて、抵当権と被担保物権の両者を一体化した一種の有価証券である。
具体的には、長期資金(一般に10年以上)の調達を希望する個人事業主や中小企業に対し、抵当証券会社が必要資金を融資し、その資金(融資額)と同額の抵当証券を国(登記所)から発行してもらうのである。
抵当証券会社はこの抵当証券を少額単位のモーゲージ証書にして、一般消費者に販売する仕組みになっている。
なお、1987(昭和62)年12月に、「抵当証券業の規制等に関する法律」が公布され、抵当証券業者の登録制度が義務づけられたのである。
同意文言
クレジット・消費者金融を契約する際に、審査のために個人信用情報機関に照会し、情報を登録することについて顧客から得る同意である。
同意文言を得ないで照会・登録を行なってはならない。
照会の際に得るものを「利用同意」、契約の内容を登録するために得るものを「登録同意」といい、利用同意は申込書内に、登録同意は契約書内に記載されていることが多い。
念書
念のための文書の意である。
契約に際して、当事者や利害関係人の間で副次的な事項や了解事項について作成し、差し入れる文書である。
金融取引では、種々の理由から正規の契約書として作成しがたい事柄を後日の証拠とするために作成される。
その形式、内容、法的効果もさまざまである。
例えば、子会社への融資ため親会社が銀行に差し入れるいわゆる「経常指導念書」は、その文言や態様などをめぐって債務保証に当たるかが問題となっている。
年賦償還
年単位での返済方法である。
能力者
単独で法律上有効な契約のできる人である。
白紙委任状
委任者が委任事項の一部または全部を白地にして受任者に交付する委任状のことである。
受任者が与えられた権限外の事項を勝手に記入して委任状を使用した場合が問題となる。
代理人(受任者)がした権限外の行為につき本人(委任者)が相手方に対して責任を負うかどうかは、表見代理の問題である。
貸金業規制法では、貸金業者が強制執行認諾文言付の公正証書を作成するための委任状を取得することを禁止している(同法20条)。
バックアップサービサー
資産・債権の流動化において、本来のサービサーが信用不安等で業務の遂行ができないとき、サービサー業務を引継ぐ者をいう。
証券化商品の投資家は、購入した資産の信用力を頼んで投資を行なっている。
しかし、サービシングをオリジネーターが引き続き行なっているスキームでは、オリジネーターが倒産した場合、投資家への利払い・償還に支障が生じる。
こうしたことを回避するため、とくに格付けを取得する証券化において、格付機関がこのような場合に備えて、「サービサーの交代」を当初から仕組みのなかに組み込むことが多い。
このため、バックアップサービサーの格付けが要請されている。
表見代理
無権代理のうち、無権代理人と本人との関係から、相手方が無権代理人を真正の代理人と信じて法律行為した場合には、その責任を本人に帰属させて相手方を保護する制度である。
民法ではそれに該当するケースとして、①本人がある者に代理権を与えた旨を第三者に対して表示した場合(代理権授与の表示による表見代理。同法109条)、②代理人がその権限を越えて代理行為をした場合(越権行為による表見代理。同法110条)、③代理権の消滅後に代理行為をした場合(代理権消滅後の表見代理。同法112条)の3つを規定している。
いずれのケースも相手方が代理権があると信じるについて善意・無過失であるか、そのように信じるについて正当の理由があることを要する。
標準約款
各業界で関連法律に基づいて統一的に申し合わせる契約書に記載する、契約条項のひな型である。
賦金率
元利均等返済において返済回数と金利(実質月利またはアドオン月利)が定まっているときに、毎月の元利定額返済額を求めるための、当初元本に掛け合わせる乗率である。
当初元本に当該賦金率を乗ずると、毎月の返済額が自動的に算出される。
また、賦金率は「資本回収係数」とも呼ばれる。
これは、一定の資本を投下(融資)した場合、一定の収益率(月利)を確保するためには、毎月いくらの資本を回収したらよいかを算出するための係数(乗数)である。
複利
金利の計算方法は、①資金の貸借期間に比例して、元金に対して単純に単位期間の利息を計算する「単利」と、②一定期間(例えば半年、1年)ごとに、発生利息を元金に組み込んでいく「複利」(「重利」ともいう)に大別される。
複利方式では、利息部分の再投資を考慮しない単利に比べ、期間が長くなるほど利回りが高くなる。
算出方法は、「元利合計=元金×(1+利率)期間」であるが、計算が複雑なため、通常は利率、利払い回数別に複利の利回りが表示された「債権利回り表」が用いられる。
金銭消費貸借契約においては、「1年以上未払いで、しかも催促してもなおかつ返済のない場合のみ、利息を元金に組み込める」(法定重利=民法405条)として、複利計算に制限を加えている。
一般に「複利」は金銭消費貸借契約ではあまり存在しないが、預貯金や各種金融商品では珍しくない。
代表的なものに、郵便局の定額貯金、銀行の期日指定定期預金、中期国債ファンド(中国ファンド)などがある。
物上保証
他人の債務を担保するために自己所有の財産を提供して担保権を設定することで、第三者担保提供ともいい、担保提供者のことを物上保証人という。
物上保証は債権者と物上保証人との契約(抵当権設定契約など)によるが、債務者の承諾を得ることは必要なく、債務者の意思に反しても物上保証をすることができる。
物上保証人は通常の保証人と異なり、提供した担保の目的物の価値を限度として責任を負うにすぎない。
このため金融取引では、物上保証と併せて保証契約を結ぶことが場合が多い。
賦払金
分割(割賦)返済の各回の返済額のことである。
振込指定
振込代金を金融機関が指定した預貯金口座に振り込むことである。
とくに金融機関が貸金の担保または引当てとして利用する場合をいう。
貸金の債務者である受取人は、振込依頼人との間で金融機関が指定する口座に代金を振り込むことを約し、金融機関は受取人との間で振込金(預貯金)について相殺の予約をすることで、相殺の担保的機能を利用した貸金担保の仕組みである。
平均金利
返済期間中の平均残高を基準にして算出する概算金利のことである。
弁護士介入
債務者が返済困難となり、弁護士に債務の整理を依頼した場合をいう。
弁護士からの介入通知を受けた債権者は、債務者に直接督促などの行為を行なうことができず、弁護士との交渉になる。
弁護士は債務内容を調査し確定した上で和解、民事再生手続、自己破産などの整理を行なう。
ただし、弁護士が介入後、長期間債務を放っておく等債務者にとっても不利益な状況があると判断される場合、債権者は介入を拒否することもある。
弁護士法
弁護士の使命・資格・登録、その権利義務、弁護士会および懲戒等に関する事項を規定した法律である。
弁護士とは弁護士名簿の登録を受け、法律事務を行なうことを公認された者で、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする。
また、同法に定めた弁護士の義務に反したときは、懲戒委員会の議決によって懲戒される。
なお、弁護士資格のない者が弁護士の行なう職務をなすことを「非弁行為」といい、同法による処罰の対象となる。
片務契約
双務契約に対するもので、一般に契約の効果として当事者の一方だけが債務を負担するものをいう。
贈与(民法549条)や使用貸借(同法593条)がその例である。
利息付消費貸借や負担付贈与(同法553条)のように債務の一方の内容が対価関係にない場合も、片務契約とされる。
訪問販売法(訪問販売等に関する法律)
1976(昭和51)年制定された。
その後、無店舗取引が拡大し、消費者とのトラブルが増加してきたため、1984(昭和59)年、1988(昭和63)年、1996(平成8)年、1999(平成11)年、2000(平成12)年に一部改正が行なわれた。
1988年の改正では、消費者保護をより強化するため、指定商品の追加、指定役務・指定権利の新設による適用範囲の拡大、クーリングオフ期間の延長(7日から8日へ)、行政監督権限の強化、また、割賦販売法との適用関係も変更された。
1996年の改正では、これまで適用外であった電話勧誘販売を規制対象にするとともに、連鎖販売取引(マルチ商法)については禁止行為の対象者の拡大、クーリングオフ期間の延長(14日から20日へ)、罰則の強化などの改正がなされた。
そして、1999年の改正では、特定継続役務提供が対象に加えられた。
訪問販売では、契約を締結するには「書面の交付」を行なうことが義務付けられており、「不実のことを告げてはならない」「人を威迫して困惑させてはならない」「電話勧誘販売の『再勧誘』の禁止」などの規定があり、違反した場合は行政処分を受ける。
なお、2000年11月、新たな規制類型として業務提供誘引販売取引(内職・モニター商法)を追加した訪問販売法および割賦販売法の一部改正が行なわれ、2001年6月から施行、訪問販売法は「特定商取引に関する法律」に改称された。
保証
主たる債務者が債務を履行しない場合に、これに代わって履行するために保証人が従たる債務である保証債務を負担することである。
債権者と保証人との契約による。
抵当権や質権などの担保権を物的担保というのに対して、保証は人的担保といわれる。
金銭消費貸借契約における保証には、①金融機関・貸金業者などの債権者が保証会社と保証委託契約を結ぶことで、債務者が返済不能となった時に保証会社から代位弁済を受けるもの、②債務者が指名した保証人と保証契約を結ぶことで債務者が返済不能となった場合に保証人に債務負担が生じるもの、の2つのケースがある。
①において生じる保証料は、基本的に債務者が負担する。
また、代位弁済後は保証会社に求償権が発生し、債務者が破産・免責などを受けていない限りその返済を求めることができる。
②においては、債権者は保証人にその契約内容を十分に理解させる説明義務などの規制強化が2000(平成12)年6月の貸金業規制法改正で盛り込まれた。
保証契約
保証人が債権者に対し保証債務を負担することを約する契約をいう。
保証契約は主たる債務者の委託がなくても成立するが、金融実務では保証人と主たる債務者とが署名(連署)した保証契約書(保証約定書)を取り受け、主たる債務者の意思を明確にしている。
保証料
保証人が保証の委託をした者から受け取る報酬をいう。
保証料は商人が営業の範囲内で他人のためにした行為の報酬(商法512条)とされ、利息制限法等の適用はない。
本案
訴訟において、原告の主張する請求など訴訟手続きの中心的な事項を、付随的、派生的な事項と区別して本案または本訴という。
例えば、貸金請求訴訟の勝訴判決の効力を保全するために相手方の所有不動産を仮差押えする場合、仮差押えに対してその訴訟を本案(本案訴訟)という。
本人確認法(金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律)
テロ資金供与防止条約を受けて、金融機関等の顧客の本人確認義務と取引記録の保存義務を定めた法律である。
2002(平成14)年4月26日公布、2003(平成15)年1月6日施行された。
主に、①継続的な取引関係の開始、②200万円以上の単発取引、③本人特定事項に疑いのある顧客との取引が対象とされ、①は預貯金口座の開設や有価証券の取得をはじめ、貯蓄性のある保険契約の締結、金銭の貸付、貸金庫の貸与などが該当する。
とくに③の場合は取引の種類・金額に関係なく、本人確認が必要とされる。
本人確認に際して①取引名義人が実在するか、②取引申込者が取引名義人と同一かを担保するために、運転免許証や健康保険証などにより本人特定事項を確認し、記録しなければならない。
さらに金融業務にかかる取引では1万円以下の少額取引を除いて取引記録の作成・保有が義務づけられている。
クレジットカードの新規発行時にも本人確認が義務化されるが、口座開設時に銀行など金融機関が顧客の本人確認を行なっていたことを確認すれば、カード会社は改めて本人確認をする必要はない。
なお、物品やサービス購入などの提携ローンについては、犯罪によって得た収益を隠すマネーロンダリング(資金洗浄)に利用されるおそれがないとして、本人確認の対象から除かれている。
未成年者契約の取消権
未成年者が行なう契約、例えば未成年者が単独で借入などの契約をした場合に、本人または親権者(通常は両親)がその契約を取り消すことができる権利をいう。
未成年者(満20歳未満の者)が金銭消費貸借契約などの法律行為をするには、その法定代理人(親権者)の同意を得ることが必要で(民法4条)、この同意がない場合、本人または親権者はその契約を取り消すことができる(同法120条)。
ただし、①未成年者が結婚している場合(成年者とみなされる。同法3条)、②未成年者が一定の営業を許されている場合(その営業に関しては成年者と同一の能力をもつ。同法6条)、③未成年者が成年者であることを信じさせるため詐術を用いた場合(同法20条)には、その契約を取り消すことができない。
みなし弁済
法的に有効な利息の弁済とみなされることである。
貸金業規制法43条において定められた利息制限法の特例である。
同条は、債務者が貸金業者との間の利息契約に基づいて利息を任意に支払った額が、利息制限法の定める額を超える場合には、契約締結時に一定条件が満たされていることを前提として、この超過部分は有効な利息の債務の返済とみなす、と定めている。
一定条件とは、契約締結時に契約内容を明らかにする書面が交付されていること(同法17条)、および支払い時に利息・元本への充当内訳等の記された受領書が交付されていること(同法18条)の2点である。
みなし弁済が適用されれば、その利息の支払いは不当利得返還請求の対象とはならず、貸金業者がそのまま受領してよいものとなる。
民事再生
2000(平成12)年4月1日施行の民事再生法に基づく手続きで、和議法に代わる再建型の法的整理手続をいう。
債務者が経済的に窮境にある場合に債権者との権利関係を調整し、債務者の事業または経済生活を再生することを目的とする(同法1条)。
個人・中小企業・公益法人など利用対象は広い。
①個人非事業者に支払不能や債務超過(破産原因)の生じるおそれがある場合、②事業者の資金繰りが悪化した場合に、債務者が申し立てることができる(①の場合は債権者も申立権がある)(同法21条)。
債務者は引き続き業務を遂行し、財産の管理処分をしながら(同法38条)、再生計画に従って返済を行なうことになる。
簡易再生・同意再生、小規模個人再生・給与所得者等再生、住宅ローンなどの特則が設けられている。
民事執行
私法上の請求権を国家権力によって実現させる手続きをいう。
1980(昭和55)年10月1日施行の民事執行法に基づいて行なわれる。
総則、強制執行、担保権の実行としての競売等の手続きに大別される。
強制執行としては不動産執行、船舶執行、動産執行、債権執行など、担保権の実行としての競売としては不動産競売、動産競売などの手続きがある。
民事訴訟
民事上の紛争を裁判所によって法律的・強制的に解決するための手続きをいう。
主として1998(平成10)年1月1日施行の民事訴訟法に基づいて行なわれ、判決によって権利義務関係を確定する判決手続が中心となる。
広義には、民事執行、民事保全、破産、民事再生などの諸手続きが含まれる。
民事調停
民事調停とは、「民事に関する紛争につき当事者が互いに譲歩して、互いの条件を理解し実情に即した解決を図ること」(民事調停法第1条)であり、性質上は和解と同じく当事者間の話し合いによる解決方法である。
裁判所の調停委員会(公正な立場で判断できるその地区の名士などを裁判官が調停委員として任命)が関与して、現実的な妥協点を見つけ合意を成立させる制度である。
調停が成立すると、調停調書が作成され、和解調書と同一の効力をもつ。
無権代理
代理権のない者が代理人と称して契約をすることをいう。
無権代理人による契約は本人が追認しなければ、本人に対して効力を生じない(民法113条)。
相手方は一定の期間内に追認するかどうか確答するよう催告することができ、本人がその期間内に確答しなければ追認を拒絶したものとみなされる(同法114条)。
本人の追認がないときは、無権代理人は相手方に対し契約の履行をするか損害賠償をしなければならない(同法117条1項)。
広義には、取引の相手方を保護する観点から表見代理を含む。
無担保裏書
手形や小切手の裏書に際し、「支払いの担保をしない」旨の文言を付記してする裏書をいう。
この裏書をした裏書人は、自分より後の所持人に対する遡求義務を免れる。
免責(破産法の)
破産手続で、配当によって弁済された残りの債務について破産者が責任を免れることである。
破産者は破産手続が終了するまで裁判所に対して免責を申し立てることができる(同時廃止の場合は決定確定後1ヶ月以内。破産法366条ノ2)。
裁判所は詐欺破産に当たる行為など一定の事由(免責不許可事由)がない限り、免責の決定をする(同法366条ノ9)。
免責を得た破産者は、租税など一定の債権を除いて債権者に対する債務全部の責任を免れる(同法366条ノ11)。
この場合、破産者の保証人や担保には影響がない。
免責条項
一定条件の下で債務を負わなくてもよいことを規定した契約条項で、預金規定の免責条項とは、印鑑照合による金融機関の免責を定めた条項のことである。
金融機関は預金の払戻しについて「払戻請求書に使用した印影を届出の印鑑と相当の注意をもって照合し、相違ないとして取り扱った以上、偽造、変造等のために生じた損害については責任を負わない」旨の条項(普通預金規定ひな型8など)を定め、二重払いのリスク防止を図っている。
約定
契約で取り交わした約束である。
約定返済
契約時点において取り決めてある返済予定のことである。
約款
契約書に記載する条項である。
大量の契約関係を迅速かつ定型的に処理するため、あらかじめ統一的に定められている場合が多い。
要素の錯誤
契約などの法律行為の重要な部分を法律行為の要素といい、この要素に錯誤がある場合を「要素の錯誤」という。
この場合、その法律行為の意思表示は無効となる(民法95条)。
ただし、意思表示をした者に重大な過夫があったときはその無効を主張することができない。
43条問題(貸金業規制法の)
利息制限法金利を超え出資法上限以下の金利は、利息制限法により「任意の支払いの場合は有効」となっている。
しかし、「任意性」についての明確な判断基準はなく、裁判において事件ごとに解釈されていた。
このため、1983(昭和58)年11月に施行された貸金・業規制法43条において、法の定める書面の交付などを行なっている場合は任意の支払いとして有効である、として解釈の安定化を図った。
しかし、規制法施行時には予定していなかった営業方法(例えば、ATMの普及に伴なう包括契約の一般化など)が浸透したため、「法の定める書面」の交付が現実的に無理になるといった問題が生じ、43条の適用を受けにくくなったため、過払い請求訴訟を増加させる原因となった。
留置権
法定担保物権の1つである。
他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権をもっている場合に、弁済を受けるまで、その物を留置(手元に留め置いておく)することができる権利(民法295条~302条)である。
例えば、物品の修繕人が、相手が修繕代を支払うまで、その物品を手元に置いておくことができるというものである。
民法上の留置権(同法295条以下)と商法上の留置権(同法521条)がある。
倫理綱領
企業活動において企業が自ら守る倫理的行為について、その基本方針や内容を内外に宣言するものである。
企業によっては、「企業行動憲章」、「企業行動指針」などの名称を付しているところもある。
内容は、ステークホルダー(利害関係者)に対して企業の果たすべき社会的責任、使命などについて明確に示し、役職員には日常業務における企業倫理に即した行動の指針となっているのが一般的である。
権利の濫用
ある行為が外観上は権利の行使のようにみえるが、その行為か行なわれた具体的な状況と実際の結果に照らしてみて、法律上権利の行使と認めることば妥当でないと判断される場合をいう。
民法では権利の濫用は許されないと規定する(1条3項)。
宇奈月温泉事件はこの権利濫用の法理を初めて確立した事件として著名である(大審院判・昭和10.10.5)。
合意管轄
管轄の合意ともいい、当事者は第一審に限り合意によって管轄裁判所を定めることができる(民事訴訟法11条)。
銀行取引約定書や金銭消費貸倍契約証書などでは「この約定に基づく諸取引に関して訴訟の必要を生じた場合には、貴行(貴社)本店または貴行(貴社)支店の所在地を管轄する裁判所を管轄裁判所とすることに合意します」という旨の合意管轄条項が定められることが多い。
行為能力
売買契約や消費貸借契約などの法律行為を、単独で有効にすることができる法律上の資格をいう。
原則として満20歳以上の自然人と法人は行為能力を有するとされる(民法3条、43条)。
この行為能力が不十分な者を制限能力者といい、①未成年者、②成年被後見人、③被保佐人、④被補助人がそれに該当する。
公益通報者
社員がその所属する組織内で行なわれている公益に反したり、害を及ぼすような行為を、行政監督当局などの公的機関に通報することをいう。
2002(平成14)年4月、内閣府国民生活局から発表された「消費者に信頼される事業者となるために」という、企業の自主行動基準の作成指針の中の公益通報者保護制度で使用されてから脚光を浴びるようになった言葉で、内部告発者と同義語である。
欧米流の表現での意味は、「社会のために積極的に行動する人」と解されている。
公益通報者保護制度では、イギリスの「公益公開法」などが著名である。
後見人
未成年者や成年被後見人を後見する人で、家庭裁判所が選任する。
未成年者後見人には同意権と取消権があり、成年後見人には取消権がある。
また未成年者後見人は1人しか認められていないが、成年後見人は複数でも、法人でもよい。
抗告
決定や命令に対する独立の上訴方法のことである。
一般抗告と特別抗告とがあり、前者はその性質によって通常抗告と即時抗告とに分類される。
通常抗告は原則として広く裁判所がした決定に対して認められ、即時特にこれを許す明文の規定がある場合にのみ行なうことができる。
抗告に代わるものとして、異議申立てと準抗告がある。
コンプライアンス
法令やルールを遵守することである。
日本を代表する企業の不祥事の続発を契機として、遵法経営の厳格化が要請されているのである。
金融庁の金融検査マニュアルでは、各金融機関がコンプライアンス(法令遵守)を達成することを求めているのである。
①まず、コンプライアンス体制をどのような哲学でどのように構築するか、その基本方針を示すコンプライアンス・ポリシーを策定し、その具体的手引書としてコンプライアンス・マニュアルを作成しなければならない。
②次に、社内体制として、社長などを委員長とするコンプライアンス委員会を設置するのである。
あわせて、コンプライアンス実現の統括者として各部門長をコンプライアンス・オフィサーに任命し、各業務部門および営業店ごとに、コンプライアンス担当者を配置しなければならないのである。
サービスマーク
旧通産省・特許庁は1990(平成2)年「商標法」を改正し、サービス(役務)マークの登録制度を導入し、1992(平成4)年4月1日から施行したのである。
従来から商品についての「登録商標」制度はあったが、この改正によって、保護されるマーク(商標)は大幅に拡大したのである。
催告
債務者に対して、債務の履行を促す債権者からの通知である。
催告し、さらに相当の猶予期間をもって義務履行の機会を債務者に与えても履行されない場合は、民法上契約の解除ができる。
債務不履行
債務者が債務の本旨に従った履行をしないことを指す。
①履行遅滞(履行可能なのに履行しない)、②履行不能(履行したくとも履行できなかった)、③不完全履行(履行はしたが内容が不完全である)の3つの態様があるが、通常は債務者の故意または過失により履行がなされない場合を指すことが多い。
債務者に責任がある場合は、債権者は不履行により生じた損害を請求することができる。
支払停止
債務者が弁済期の到来した金銭債務の全部または重要部分を、金銭の継続的な欠乏により支払えなくなったことを債権者に表示することを指す。
支払停止があれば破産原因としての支払不能が推定される(破産法126条2項)。
住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)
1999(平成11)年成立の「住民基本台帳法の一部を改正する法律」の規定により、地方公共団体のシステムとして構築された。
全国の市区町村の住民基本台帳法をネットワ-ク化し、都道府県・指定情報処理機関((財)地方自治情報センター。略称: LASDECが指定されている)において本人確認情報(氏名・性別・住所・生年月日・住民票コードおよびこれらの変更情報)を保有し、全国共通の本人確認を行なうことを可能とするシステムである。
全国民に11桁のコードを付け、本人確認情報をコンピュータで一元管理する。
2002(平成14年)8月5日から開始され、2003年8月からは、申請によりICカード形式の「住民基本台帳カード」が支給されるようになった。
全国どこの市町村でも自分の住民票の写しがとれるたり、恩給や共済年金などの現況届けや各種資格申請時の住民票添付が省略されるなどの利便性はあるが、一方で保護法が制定される前に実施されたこともあり、個人情報漏洩・悪用に対する対策が整っていないことによる不安や、福祉面の個人情報利用の拡大と行政の効率向上に関わる将来構想を明らかにしていないとの批判も出ている。
親権者
親権を行なう者のことである。
一般には両親(またはそのいずれか)をいい、親権とは、未成年の子に対してもっている身分上および財産上の監督・義務である。
善意/悪意
法律上は、善意とはある事実(事情)を知らないこと、悪意とはそれを知っていることをいう。
善意を保護し、その責任を軽減しようとするのが私法上の一般原則である。
善意取得者
正当所持人のことで、手形・小切手の譲渡人が盗取者・拾得者であるということを知らないで、その手形・小切手を譲り受けた者を指す。
こうした善意取得者(善意の第三者ともいう)の手に渡った手形は、たとえそれが騙し取られたものであったとしても、振出人や裏書人は、その支払いに応ずる義務を持つ。
善意の第三者
当事者以外の第三者が当事者間の事実(事情)を知らない、つまり善意である場合をいう。
例えば相手方と通じてした虚偽の意思表示は本来無効であるが、善意の第三者にはその意思表示の無効を対抗できない(民法94条)として善意の第三者を保護している。
任意規定
法令中の規定のうち、公の秩序にかかわりのない規定のことである。
任意法規ともいう。
強行規定に対する。
当事者が任意規定と異なる内容の契約をした場合は、その契約が優先する。
例えば、民法404条は「利息ヲ生スへキ債権ニ付キ別段ノ意思表示ナキトキハ其利率ハ年5分トス」と規定するが、(利息制限法もしくは出資法の制限利息に反しないかぎり)約定利率が優先して適用される。
保全命令
民事保全法に基づく民事保全命令をいう(同法2条1項)。
仮差押命令と仮処分命令があり、後者には係争物に関する仮処分命令と仮の地位を定める仮処分があり、申立てにより裁判所が発令する。
申立てには、その趣旨、保全すべき権利・権利関係(被保全権利)、保全の必要性を明らかにし、被保全権利と保全の必要性を疎明しなければならない(同法13条)。