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消費者金融の上手な利用法:一覧



初めてのキャッシング

キャッシングの利用は「返済に始まり、そして返済に終わる」。
融資から始まるわけではない。
厳密に表現すれば「融資」というのは、新規契約後に行う初回借入のみについていえることであり、以後、通常利用の「融資」(追加融資のこと)は「返済ライン上に乗っかっている融資」にすぎない。


それが証拠に「返済」を行わなければ次回の「融資」はない。
つまり、これからは「返済ありきの融資」と思考を改めなければならないのである。
 

融資を受けるまでその関係は常に「業者→申込者」であり、そこに、申込者の都合や事情は一切反映されない。
すべては業者の判断で事が運ばれ、常に「業者が上」であった。


つまり「貸す側」が一方的に強かったわけである。
しかし、融資を受けた直後からその関係は180度逆転する。
すなわち、以降「申込者の事情や都合で事が進む」ことになるのである。


物にはすべて「所有権」というものがある。
平たくいえば、自分の手元にあるものを自由に扱うことができる権利で、その行使に第三者が介入することはできない。
これには「お金」も含まれる。
 

そして、返済を要求する権利のある貸金を一般に「債権」というが、これを金銭貸借の関係で捉えると「お金を貸すということは、所有権を手渡して債権を得る行為」と置き換えることができる。
そして、債権を行使するとその要求に従う義務が生じてくる。
これが「債務」といわれるものである。


「債権者(業者)」と「債務者」は、常に、この関係で成り立っている。
いくら義務だろうがモラルだろうが、申込者がそれに応じなければ業者はお手上げになってしまう。
一般的に、「債権者は強者で債務者は弱者」と見られがちだが、これは事実に反する。
実際のところ、債権者は債務者にお願いを申してお金を返してもらっているのである。

利息の知識

元金を返済していくと同時に必要なのが利息である。
「実質年率」で表される金利が、借りた日数分元金に掛けられる。


各社は経営戦略を踏まえ独自に金利を設定しており、必ずしも全社横並びではない。
利用状況などにより「優良顧客」と認定された場合は、それぞれ自社によって別途設定される「優遇金利」により利用しているベテラン利用者もいる。
すなわち、同じ会社の利用者でも、全員が同率の金利を課せられているとは限らないのである。
 

利用者は、借入した元金に対して定められた金利によって算出される「利息」を「元金にプラスして返済」しなければならない。
いうなれば「利息」とは、借りたお金に対する「レンタル料」であり、そして、その「利ざや」が各社の主要な営業収益となっているのである。
 

消費者金融における利息計算方法は、基本的に「日割り計算」によって算出される。
その利用日数の計算方法は「借入した翌日から返済日当日まで」の日数となる。
これは「片端方式」といわれるもので、金利計算の際の正しい期間査定とされている。
 

「日割り計算」の最大の利点は、「借入した同一日以内に返済すれば、利息がかからない」という点である。
「同一日内において、0時1分に借入して23時59分に返済した」場合、利息は一切かからない。
すなわち、借入しても元金のみを返済すればよいことになる。

利息の歴史

現在、日本における金利法体系は「利息制限法」と「出資法」の二つによって規制されている。


「利息制限法」では、元本(元金)に応じて上限金利を「年率15~20%」と定めているが、貸金業者は通常これを超えた金利で営業しており、その前提となっているのが「出資法」による金利設定である。


「利息制限法」により定められた金利を超えても「出資法」によるそれを超えなければ罰則規定はない。
いわゆるこの範囲が「グレーゾーン」と称される部分で、貸金業界は「ダブルスタンダードの法律」で営まれている。
そして、何かと物議を醸し出す要因となっているのもこの「二つの法律」が並立しているからである。


そもそも上限金利の引き下げは戦後の混乱期に始まったとされている。
当時は「出資法」という法律自体制定されておらず、貸金の金利に対しては「上限金利を日歩50銭(年率換算で182.5%)とする」とした行政指導が唯一の基準であった。
 

その後、朝鮮戦争の勃発や特需後による不況が重なり、闇金融や違法な利殖商法が社会問題化する。
それらに規制を設けるため、1954年「出資法」が制定された。
ちなみに、当初の上限金利は「109.5%」だった。


「オイルショック」といわれた1974年前後から「サラ金問題」が悪化し始める。
翌75年に、当時の野党である社会党が国会でサラ金批判を展開し始め、77年には各党が規制法案を提出した。
翌78年、与党である自民党もサラ金対策に本腰を入れるようになり紆余曲折を経た結果、83年5月、上限金利を引き下げる「出資法改正法案」が成立したのである。


以後、数年おきに見直しが図られ、2000年6月には現在の上限金利にあたる「29.2%」に下げされた。
実は、2003年6月、同上限金利の見直し案が国会で議論される予定だったが、「ヤミ金規制法案」の法案成立が急務の議題とされたため、上限金利の論議は「現状稚持」として持ち越しされた。

利息のグレーゾーンについて

利息の問題については、そもそも「二つの法律」によって規制されていることが、この問題の理解を複雑かつ困難なものとしている。
各々の法律から、これら一件にかかわる主要部分を抜粋してみる。


● 「利息制限法」 1条2項
債務者が超過部分の利息を任意に支払ったときは、その返還を請求することができない。


● 「貸金業規制法」 43条           
債務者が貸金業者との間の利息契約に基づいて利息を任意に支払った額が、利息制限法の定める額を超える場合には、契約締結時に一定条件が満たされていることを前提として、この超過部分は有効な利息の債務とみなす。


● 「出資法」 5条
金銭の貸付を行う者が、業として金銭の貸付を行う場合において「年29.2パーセント」を超える割合による利息の契約をし、またはこれを超える割合による利息を受領したときには3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。


これら三つの法律を、単純に組み合わせていくと、債務者が契約に基づいて、自分の意思で返済し、業者側(貸金業章は受取証書(明細書)などをきちんと渡せば、たとえ利息制限法の上限金利を超える金利で貸し付けていても出資法の上限金利までなら違反にはならない、ということになる。


各法の条項内に記載されている「任意」という言葉の解釈により、どちらにでも針が振れることになるが、利用者の立場から捉えるとこれは任意といえるものではなく「半強制」である。
嫌であれば契約しなければよいだけのことだが、それでは融資が受けられない。
そうなると、結局嫌でも受け入れるしか手はないのである。
逆に、業者からみれば利用者がどのような形で支払おうが、「利用者の意思で支払われた」と解釈する。


さらに、この解釈方法を混乱に陥れているのが裁判所による見解であり、判例である。
近年、貸金業者を対象に増えてきた「過払金返還請求訴訟」によるもので、裁判ではことごとく「原告(利用者)勝訴、被告(業者)敗訴」が言い渡されている。


すなわち「利用者の意思で支払われた」という解釈は、こと法廷内に限っては通用していない。
貸金を規制する法律が、二つであれ三つであれ「利息制限法が上限金利」という回答が現に出されているのである。
 

キャッシングを利用した際、「金利」は切っても切れない関係で付いてくる。
しかし現状、「どちらが是で、どちらが非か」の答えはグレーのままである。

明細書の知識

消費者金融には、銀行のような「通帳」がない。
また、ATMの普及によりキャッシングと返済のやり取りはそれを介して行われることが通常となったために、余計、アナログ的なものは必要とされなくなってきている。


しかし、いくら「通帳」がないといっても、書面交付をナシで済ませることは金銭貸借上問題がある。
よって通常取引において、その役割を担うのが「明細書」といわれるものである。
その取引が借入であれ返済であれ必ず取り交わされるものだ。


各社、表記方法に若干の違いはあるが、取引上、両者が必ず把握しておかなければならない項目は共通で、あとは各社まちまちで取り扱われている。
利用者が最低限チェックしておかなければならないところは、各社の共通部分にあたる債務取引の項目である。
その中で、利用者がとくに注視しておきたい項目はつぎの2点である。


1.次回返済日


通常取引において、絶対厳守なのが「返済日」である。
約定返済額を用意できなくても、期日を厳守するという行為が何よりも大事なのである。
たとえ手持ち金が足りず、約定返済額を返済できなくてもであり、逆にいえば「返済日」さえ遵守していれば、けっして大事には発展しない。
 

消費者金融のみならず、消費者信用産業において「返済日」(もう少し広義にいえばあらゆる「期日」)は絶対的な意味を持つ。
これは単純に、遅れた分だけ遅延損害金がかかるからという理由ではなく、各社とも「返済日を絶対」と見なして債務上処理しているからだ。
つまるところ返済金額はどうにでも対応してくれるのである。


2.利用可能額


利用者にとっては重要な項目といえるだろう。
ここは「借入残高額」と密に連動している部分で、2項目足した総額が利用者の「融資(利用)限度額」となっている。
 

通常、滞りなく利用しているときはそう気に留める必要はない。
しかし一転「正常でない利用」や「変更事項があるにも関わらず、それを黙っていた」場合、ここを注視する必要が生じてくる。


各社その対応はシークレットだが、総じて利用者に「告知なし」のまま事が運ばれる場合が多い。
利用状況によっては、何の前触れもなく「減額」されたりするからである。

明細書の処理

圧倒的大多数の利用者は、ほとんど「明細書」を保管していないと思われる。
しかし下記に挙げるように、保管しておいた方が、賢明という考え方もできる。


● 将来的な債務整理のときのために


やむなく何らかの手段で債務整理を行わなければならなくなった場合、「債務一覧表」なるものを作成しなければならない。
これは利用開始時に遡って記入しなければならないことになっており、その一覧表を作成する場合絶対に必要になるものである。


● 業者の「ごまかし」をチェックするために


キャッシングを日常的に繰り返し利用していると、その返済日ごとに「いくら利息がかかっているのか」を正確に把握することは困難を極める。
また債務整理に発展するような利用者は、その取引記録を詳細に把握していないことも多いだろう。
業者からの、そこにつけ込んだ確信犯的な「ごまかし」を受けたりするケースが、過去の事例で見受けられる。


この事件から学ぶべきことは、自分の債務は常に自分で把握しておかなければならないということである。
明細書は、こういった場合に役立つことになる。

返済方法 : 毎月一定日の返済

一ヶ月のうち、必ず1回返済日がくるように設定されているパターンだが、各社によってその設定基準が若干異なっている。
契約時、利用者自身が任意で返済日を設定できる場合もあれば、あらかじめ用意された返済日のなかから選択させる場合もある。
また、利用者の給料日を起算としてそこから数日以内のいずれかの日を返済日として指定させるパターンを取る会社もある。
 

ただ、毎月一定日としていても「前倒し」で返済することも可能である。
その場合、同返済日の「2週間前以上」に返済すると、任意増額返済の扱いとなり「次回返済日」に更新されない。
つまり月に2回返済日が来ることになるので注意が必要である。
 

この返済日の設定方法のメリットは、毎月一定日なので「忘れてしまうこと」を防ぐことができる。
逆に、デメリットは「返済日を勝手に変更できない」ことで、変更する際には「契約内容の変更手続き」を行わなければならない。
つまり、契約書の書き換えが必要ということである。
特に、給料日を起算として返済日を設定している利用者が転職した場合、その転職先が以前の勤務先の給料日と同一日とは限らないので、面倒を感じる場合もあるだろう。

返済方法 : 35日サイクルについて

消費者金融界では、「35日サイクルの返済日」を設定しているところが多い。
これは、次回返済日が当回返済日翌日より35日以内という周期を取っている。
なぜ「35日」となっているかには、理由がある。


「30(31)日」は1月の日数である。
通常、給料日は「月1回」と考えられ、それを日数換算すると「30(31)日に1回」となる。
返済日を毎月一定日に置く意図は、これをペースとしているのである。
 

今でこそ、その返済方法はATMを介しての返済が主流となっているが、その昔、まだATM自体が存在していなかったころは店頭への直接持参による返済が常だった。
つまり「手渡し返済」ということである。
 

給料日というのは、だいたいどこの会社も同じで「毎月25日」という設定が比較的多い。
今でこそ「10日」や「末日」など分散されているが、一昔前であれば「25日給料日」の傾向はなおさら強かった。
そのため、おのずと返済のために来店する利用者が同一日に集中してしまうので、店側としても以下の考え方が必要となってきたのである。


1.店頭の混雑緩和を考慮し、返済による来店者の分散化を狙い、1ヶ月プラス数日間の猶予を設けた。
そこで、何日ぐらい猶予を設けるかについても考えなければならず、その根底として以下の考え方が持ち上がったのである。


2.当時は土日曜日にしか来店できないお客さんが多かったので、「給料日の周期(30日)+次に来る土日までの日数(月~金の5日間)」を猶予として設定した。

 
この2点をベースにして「35日」を設定したといわれている。
ちなみに業界では「5週間後の同曜日」という捉え方をする。
 

実はこの「35日サイクル」を採用する会社にとっても利益につながる要素がある。
毎月1回の返済の場合、単純計算で年「12回」の返済となるが、35日サイクルの返済の場合、年「10.4回」の返済となる。
少しでも借りてもらう期間を取った方が営業上ありがたく、またシステム上返済決算は少ないほうがいい。
30日 (1ヶ月)で返済してもらうより、35日で返済してもらったほうが単純に「5日分」の利息を徴収できるという要素も暗に含まれているのである。
 

また、35日サイクルの最大のメリットは「返済日が連動して動く(35日後に)」ため、利用者の事情や給料日の変更などにもフレキシブルに対応しやすいという利便性がある。
逆に、デメリットはメリットの裏返しである「利用者が返済日を忘れてしまうこと」の多発だといえる。

返済方法 : 返済方式と約定返済額について

現在、各社とも「リボルビング方式」による返済方式が主流である。
これは、一定の利用限度額の範囲内で自由に反復借入ができ、別途定められる最少返済額以上を返済する方式である。
ATMによる入出金が主流になったことから、借入・返済のたびに契約書を支わす必要もなく、そのシステムにマッチした形態といえる。
 

その最少返済額の設定の仕方には、各社、若干の違いがある。
この 「最少返済額」の内訳は「利息+元金」で構成されており、「約定返済額」と称される場合も多い。
あくまでも「最少額」であり、これ以上の金額を返済することも当然可能である。


現在、各社とも取引後の明細書に「次回の最小返済額」を公示しているため、返済方式をそう気に留める必要はないのかもしれないが、覚えておいて損はないだろう。

返済方法 : 返済金充当順位について

「最少返済額」は「利息+元金」で構成されている。
当然、その内訳のなかでも優劣は付けられ、中でも「元金」は必ず最後に充当される。
これは融資全般において共通の考え方である。


最初に充当されるのは「利息」となるが、これは通常利用に限った場合である。
たとえば「3日間延滞」してしまった場合、その「遅延損害金」が最初に充当される場合もある。


また、口座振込などによるキャッシングの場合、その振込手数料分が次回の返済時に、最初に充当される会社もある。
結局「元金」は、利息をはじめ諸々の手数料を引いた「残金」が充当されるわけである。

返済方法 : 35日サイクルの盲点について

特に「35日サイクル」の返済パターンの場合、「返済日」というのはその「締切日」のことを意味している。
つまりその間に返済すればOKということで、たとえそれがギリギリであっても問題はない。
しかし、だからといって頑なに「35日ごと」の返済を常習化すると、それはそれで訝しがられるのもまた事実である。


返済履歴から推測して利用中の消費者金融に目を付けられやすい人物像は、下記のようなものになる。


1.毎回返済日ギリギリの日にちに返済する
2.最少返済額(約定返済額)しか返済しない
3.返済を行ったあと、すぐに利用可能額分を借入する

返済方法の知識

消費者金融がもっとも嫌う返済は「完済」することである。
「いずれは完済してもらわないといけないお金」なのだが、そこは商売がゆえの儲けの意識が先に立ってしまうのだろう。


これはATMによる返済が主流になって生じた「副産物」だが、通常、返済金は「何百何十何円」といった金額でやり取りされる。
しかし、消費者金融各社のATMはシステム上「小銭」に対応していないところが多く、完済しようとした場合「もらいすぎ」が生ずるのである。


それを「余剰金」として一旦預かり、後ほど店頭に直接受け取りにきてもらうパターンもあるが、正直、業者としては避けたい行為である。
それを受け入れることによって、その「良いお客さん」との関係が終わりになるかもしれないからである。
しかし、いくばくかでも「債務」が残っていれば、次につながる場合もある。
 

そこで、窮余の策として練り出されたのが「1千円未満の債務については、取引上完済として扱う」とするものである。
すなわち「1千円未満」の債務はおまけとして「その分は無利息で融資する形を取っている」ということである。


これで利用者の余剰金を預かる障害や手間も省け、また帳簿上「完済」ともならず営業的にも都合がいい。
さらに、もっとも大きい理由として「いいお客さんを自分の所につないでおける」という効果を生んでいるのである。


これは、利用者から見ても「ただで貸してくれている」ことになるので、考えようによってはありがたいかもしれない。
たしかに、店頭で返済をすれば「本当の完済」が可能になるが、多くの利用者は、そこで返済を行おうとはあまり考えないものである。
 

この「1千円未満債務」だが、解釈上「一生無視することも可能」で、今後その消費者金融を利用しなければ無視できる。

モニターリング : 途上与信について

与信は「新規申込時」の1回きりで終わりではない。
その会社を利用している間、連綿と与信は行われている。
与信が終わりになるのは、その会社の利用者でなくなったときである。
 

利用が進行すれば、当然それに従い利用者の信用も「成長」する。
ここでいう成長は、進化だけでなく退化も含まれる。
途上与信の意義は、絶えず変化する利用者の信用状況を把握し、その状況に応じた与信で継続的に利用してもらうところにある。
何より、この途上与信が会社の利益に直結する部分なので、新規契約時のそれよりも一層シビアに取り扱われている。


消費者金融連絡会では「適正与信の定期照会」を掲げ、「新規契約後3ヶ月間は毎月1回、それ以降は3ヶ月に1回情報照会を行う」とした定義を設けている。
ただ、これは何も同連絡会を形成する会社に限った行為ではなく、おおよそ消費者信用産業の業種であれば大なり小なり実行していることである。


その間隔の取り方こそ各社千差万別だが、利用者が意識することのない部分では、必ず定期的な与信が行われている。
自社における利用履歴で「家庭内での行儀作法」を見て、加盟する信用情報機関の照会で「外での行儀作法」を見る。
それらを一元化し、トータル的に判断して適宜「与信」が行われているのである。

モニターリング : 債務情報について

消費者金融が全情連に照会した場合、そこに登録されている利用者の債務情報は基本的に「全部」見られているといってよい。
「全部」というのは現在利用申の債務はもちろんのこと、「完済」した債務についてもデータ保有期間内であればそのまま開示されるしくみとなっている。


ただ、ここでは「利用中の会社名」までは相手に表示されない。
すなわち、利用者が他の消費者金融を利用していても、それが「どこか」までは相手に見られていないわけである。
あくまでも「何社」、「各々いくら借入している」、「いついつが返済日」のレベルである。


情報更新の頻度は、各機関によってその扱いが異なるが原則「取引発生時随時」とするところが多い。
当然ながら「取引がないとき」は利用者の債務情報にも変化がないのでそのままだが、一旦、何かしらの取引が行われれば、会員各社の報告によってその情報が更新される。


「発生時随時」というとリアルタイムと思われがちだが、基本的には「同一日以内」にその情報を報告してもらい、それを「翌日使う」データベースに反映させているしくみが主流である。
すなわち、早くても「1日間」はタイムラグが生ずるわけである。
 

ところで、消費者金融が利用者の債務情報のなかでもっとも注目している点は、当然のことながら「現在進行形の債務」である。
さらに言及すると「借入金額」よりも「借入件数」のほうを重視している。
つまり「何社利用中」かについてである。


一方、「完済」の部分については、ほとんど注目していない。
もう少し厳密にいえば「この部分の件数は、数として勘定しない」考え方をしている。
たとえば、利用者が6社と契約していようが10社と契約していようが、そのうち現時点で2社しか利用していなければ「2社」にしか意識を置かず、残りの「4(8)社」は「なきもの」として捉えているのである。


当然、利用者の意識としては「いまは、使っていないだけ」にすぎないと思われるが、相手はそこまで気を回して捉えていない。
たとえ、それが利用者の意図的な「一瞬の完済」だったとしてもである。

利用限度 : 増減事情について

契約した以上もっとも気になるのが「増額」のタイミングであろう。
消費者金融の利用において「信用度のアップ」を確実に勝ち得る最短の近道は、そこを定期的かつ真面目に利用することである。
何も1回の利用で金額をたくさん借りることではない。
細く長く借りて、相手の利益に貢献することである。
そうすれば、そのお礼として「信用」を付けてもらいやすくなる。
 

具体的には、初回契約時からの利用層歴において「延滞なし」が絶対条件となる。
たとえ「1日」であっても延滞は延滞なので、それをしてしまうとその分増額への到達は遅くなってしまう。


そして「継続的な利用」も重要とされる。
これは、さもすると利用者の懐事情の「金融不安」と見られかねないが、それは正確ではない。
なぜなら消費者金融は「借りてもらって初めて利益の出る」商売であり、金融不安を匂わす利用者ほど上客に育つ可能性もあるからだ。
 

逆に、間隔を開けて利用するのはいただけない。
何も会社の利益に貢献していないからというわけではなく、「たまに利用する程度」では必要以上に相手に警戒心を与えてしまうからである。
また、たとえ利用限度額内であっても一気に全額借入するという「自殺行為」は、相手に危険を察知されかねない。
 

以上は、自社内での行儀作法だったが、これから先は他での行儀作法も重要になってくる。
それを調べる手立てが信用情報機関の活用である。
 

まず、一にも二にも「他社件数」を増やさないこと、すべては、この一点に尽きる。
これを破ってしまうと、いくら真面目な利用を続けていても「吉報」は届かない。
懐事情が芳しくないから「他社」に走らざるえない事情もあるだろうが、それであれば現在利用中の会社に増額の依頼を直談判したほうが「結果的によい場合が多い。
基本的に「50万円」までなら上がりやすい。
それ以上を希望する場合は、「収入証明書」等の提出を求められることが多い。


「増額判定期間」は各社まちまちだが、ここ数年の貸倒や事故状況を踏まえ「スパンを長く取る」ようになってきている。
それまで「6ヶ月間」の利用状況で判断していた会社が「9ヶ月間」「1年間」を取る、というように、その判定期間は確実に長くなってきている。
目安として、新規契約後最低「6ヶ月間」は時間を要すると見ておいた方がよいだろう。

利用限度 : 利用限度額減額について

人間、どうしても増額ばかりに意識が行きがちになるが、プラスがあればマイナスもある。
そのマイナスに相当するのが減額である。
近年、貸倒事情の悪化から少しでも「問題あり」と目を付けられると容赦なく減額が断行されるのである。
 

何度も延滞を繰り返すなど「目に見えて、自分に非がある利用方法をした場合」は減額されても合点が付けやすいが、「たった一度の延滞をすることなく利用しているのに減額される」場合も往々にしてある。
 

利用者は「延滞さえしなければOK」という意識が非常に強い。
それは決して間違ったことではないのだが、そこに意識を集中させるのは賢明ではない。
もはや、それは「当然のこと」として理解しておくべきである。
特にクレジットカードであれ消費者金融であれ、複数枚カードを所持し、それを並行利用している状況下で思わぬ「失態」をしてしまう恐れがある。
 

各社は、自社が加盟する信用情報機関を介して利用者の本人情報や債務情報を定期的に照会している。
本人情報では住所や電話番号に変更がないかをチェックし、債務情報では他社の利用状況を見る。
すると、そこに「答え」が載っていたりするのである。

利用限度 : 本人情報について

仮にいま、同一の信用情報機関に加盟する消費者金融(B社・C社)を利用中だとする。
そして「転職」したとする。
B社にはその「変更届け」を提出したが、C社には、その報告をしなかったと仮定してみる。


ある日、C社が途上与信のため信用情報機関に利用者の情報を照会した。
「勤務先が変更されている」のに「自社にはその変更届が出されていない」と判明がつく。
これは契約書内に記載されている「届け出事項の変更」の条項に抵触する部分で、C社はその報告義務を利用者が「怠った」と解釈してしまう。
利用者からすれば、まったく悪気のない行為であっても、結果「相当な状況である」と判断される場合があるのだ。

利用限度 : 債務情報について

同一の信用情報機関に加盟する消費者金融(B社・C社)を利用中の人が、さらに「X社と新規契約」したと仮定する。
このX社もB、C社と同じ信用情報機関に加盟している。
こういった状況で、B社が途上与信のため信用情報機関に利用者の情報を照会した。
そこで、「ついこの前までC社だけの利用だったのに、新たにX社が増えている、いま「50万円」の利用限度額だが、「30万円」に下げて様子を見よう」とすることになる。


このように「減額」が断行された場合、その「理由」は必ず利用者自身が作り出しているのである。

多重状況について

クレジットカード会社と消費者金融の利用システムの大きな違いのひとつに「他社利用の捉え方」がある。
前者が「利用総額」を重視するのに対し、後者は「利用件数」をことさら重視しているのである。
まず、これは明確に区別しておきたい。


消費者金融が利用件数を重視する理由は、取り扱い上の実務面の融通のよさもさることながら、その生い立ちに起因しているところも大きい。


今も昔も、身分証明書の代表格は「健康保険証」だが、「その保険証の四隅に穴を開けて、利用者の債務状況を把握していた」ことが信用情報の取り扱い方の嚆矢とされている。
自社で融資する分はさておき、他社で借入している分が把握できなければ、その利用者にいくら融資していいのかが測れないのである。


消費者金融は、基本的に自分の所在地内で利用するものなので、近隣地域ごとに各社が集まって共通の取り決めとして「保険証への穴開け」を始めたのだった。
たとえば、B社は右上に、C社は左下にというようにである。
それの発展形が、現在の信用情報センター(全情連)である。


また、消費者金融における通常契約時の利用限度額は「50万円」を上限としいる。
件数さえ抑えておけば利用社数の乗法によって、ある程度目安を付けやすいという実務的な側面もある。
逆に、クレジットカード会社が利用総額を重視するのは、個人によって利用限度額がまちまちで、総じて設定額や利用額が高額になる場合も多く、それらを一括りに捉えることは経営上リスクが高い。


さらに、消費者金融における「利用限度額の大小」というのは、結局のところ「信用度の高低」に比例している。
信用度が高ければ利用限度額も大きく設定され、よってそこ1社だけで収まる可能性が高い
逆に、信用度が低ければ利用限度額も小さく抑えられ、よって1社だけでは足りず他社利用に走らざるを得ない可能性も生じてきやすいわけである。


たとえば、利用限度額目一杯の融資を条件に「1社から100万円」と「4社から均等に計100万円」を借入している利用者を比較した場合、前者は「100万円分の信用が付いている(付けられている)人」と見られるが、後者は「25万円分の信用しか付いていない人」と見られる。
債務額はいずれも「同額」だが、消費者金融が利用者を見る目は、かなり違うのである。


「件数」は「限度額の大小」を図るバロメーターとして見ることもでき、それであれば「扱いやすい数字」の方が業務上効率もいい、そして何より「多重債務者」を見つけやすいという、最大の利点も曝されているのである。

多重生活について

消費者金融との付き合いが長くなってくると、1社や2社で収めることが難しくなってくる場合もある。
それが、世間でいわれるところの「多重」の第一歩なのだが、そういう局面に立たされると、目先の返済のため、やはり「他社」にたよってしまうのが人間というものであろう。
 

消費者金融各社は、必ずしも全社が同じ他社利用件数を認めているわけではなく、そこには自社基準を引いて独自に判断しているので、「どの会社が何件までOK」と一概にいうのは難しい。
借入が各利用者の返済能力にもよるところが大きい行為なので、単純に一線を引いて捉えること難しいからである。
 

大雑把にいえることは、大手はど許容キャパシティが狭く、準大手、中堅、小・・・となるにしたがい徐々に許容キャパシティが広がっていく。
つまり、大手ほど他社利用件数に関しては厳しく、それはイコール多重者に対する対応に直結しているのである。


消費者金融連絡会では「3件規制」をルールとして決めており、これが一応の目安となっている。
「3件規制」とは「他社利用3件以内」とする自主規制のひとつで、すでに3社から借入を行っている人が新たな借入を申し込んできた場合、審査の上融資することは可能だが、4社から借入している人であれば融資はしないとする、いわば「紳士協定」なのである。


しかし、何をもって「3件」であるかの基準は非常に曖昧である。
先にも記したように、利用者各人の経済状況や返済能力等に依存するところが大きいので、同じ会社の利用者がみな一律で「3件」というわけではない。


そもそも「以内」という言葉が付いている以上、1社で止めても2社で止めても「以内」なわけであり、それを前提に「以内」をことさら重視した対応を取られると、この規制自体が「有名無実化」してしまいかねない。
実際、同連絡会を形成する各社が全社「3件」かといえば、必ずしもそういうわけではない。
この規制は一見すると「多重債務問題に向き合った、健全な利用を促している」ように見えるが、結局、大手は「利益の出るところしか取らない」という意思表示とも取れるものである。


いずれにせよ、この規制の真意は自分たちの「債権保全」を大前提にしているオブラートにすぎないといえるだろう。

完済に含まれる2つの意味

消費者金融は、自社はもちろん他社についても「借入中」の債権をことさら注視する。
逆にいえば「完済」された債権はすべて「終わったもの」として情報上処理し判断される。
 

これを利用者側から考えると、同じ「完済」でも2つの意思が相反しているはずである。
ひとつは「もう利用することはない」とする「長期的な完済」である。
そしてもうひとつは「一時的な完済」で、これは「いずれまた使うことがあるかもしれません」とする「短期的な完済」を意図しているにすぎない。
利用者の考え方は本人に帰結されることなのでそれがいずれにせよ「表記上同じ」なだけだなのである。


しかし、信用情報機関に登録されるデータベース上では、各利用者の「意思」まで反映させてその「完済」を切り分けることは絶対に不可能である。
いずれの「完済」も同じものとして取り扱われ、また解釈されている。
そこで、機転の利く利用者は、その盲点を突いて他社の件数を伸ばしているのである。

多重 : 他社利用件数の増加

ある人が、3社の消費者金融を利用中だと仮定する。
そして、いずれの会社からも「借入中」という状態になっている。
ここで新たに4社目の契約を行おうとしても、現状では確実に契約ができるかどうかは半々である。


いまは多重債務の問題もあり、どこも他社利用件数持ちを敬遠したがる傾向にある。
そこで、4社目に行く前に一瞬でも、利用中の3社を2社に減らして行けば、そこが3社目」となることで、確実に契約が取り交わせるかもしれない可能性が出てくる。
 

消費者金融では利用者の口座の「残高がゼロ」になれば、その事実を「完済情報」として「全情連」に報告する。
そして、それは翌日開示されるデータベースに反映される。
すなわち、この時点で「全情連」に登録されている利用者の債務情報は「主債務(借入中の債務のこと)2社、完済1社」となっているのである。
 

つぎに、その「仕込み」を行った後、新しい消費者金融へ契約に行くのである。
審査のため、その会社が利用者の情報を「全情連」に照会すると「主債務2社」との債務情報が回答される。
結果的に、その会社は「いま2社利用中で、ウチは3社目」と判断するのである。


ここでもし契約が結ばれ借入することができれば、この利用者の債務情報は「主債務3社、完済1社」と更新されるのである。
現在利用中は3社だが、契約している消費者金融は計4社となり、「1社」増えたことになる。
 

さらに、「仕込みによって一瞬消した消費者金融からも再度借入する」ことによって「借入総額を増やす」ことも可能なのである。
もし、仕込みで消した消費者金融から借入すれば「主債務4社」となり、完済部分が消えるだけであり、ここに「件数減少」が完成するのである。

 
借入総額は増え、そして「多重度」が一段進行したわけだが、だからといって今後も継続的に全社から利用限度額目1杯で借入できるかといえば、それは難しくなってくる場合が多い。


他社件数が増えたことは、現在利用中の他社にも遅かれ早かれ判明し、それを見て利用者の利用限度額を減額したり、場合によってはゼロに落とすこともままある。
他社利用件数を増やすのは、ある意味「リスキー」な行為でもあるのだ。

多重 : 信用情報管理について

他社利用について、「全情連」以外の信用情報機関に加盟する、銀行系消費者金融やクレジットカード会社の利用を前提にそれを考察してみよう。
 

いま「全情連」加盟の消費者金融での借入状況は、「テラネット」を通して「ほぼ筒抜け」という状態である。
すなわち利用者の債務情報は、大なり小なり「全社」で共有されているといってよい。
これが「テラネットの真の効用」で、入会規約上「全情連」に加盟できない各社が「入会する理由」はすべてここに集約される。
「全情連」加盟の消費者金融において他社利用の激しい多重者を受け付けないための唯一の情報ソースなのである。
 

しかし、結局ここでも「借入中」の債権しか対象とされず、「完済分」については終わったものとしてその事実すら開示されないのである。


両信用情報機関の交流定義として「残高あり口座(すなわち現在借入中)の件数のみ」しか開示されないことになっているからである。
つまり、「何社」、「借入日」、「返済日」等々の情報は支流されるが、その「借入金額だけ」は開示されないしくみとなっているのである。


この業界では、情報上「生きた件数(借入中)」を絶対視する一方、「死んだ件数 (完済分)」は完全無視に近い捉え方をする。
そして、そのカラクリを覚えた結果、多重に身を落としてしまう利用者も後を絶たないのである。

どうしても困ったときの対処

約定返済額は「利息+元金」で構成されている。
いずれ迎えるべく「完済」というゴールを目指して、借入した元金に対してレンタル料(利息)を付けて、毎月それを少しずつ返済していき「ゼロ」に近付けて行くわけだから当然の内訳といえる。


ただ、元金はもちろんレンタル料自体が、少し厳しいというときはだれしもあると思われる。
「2~3ヶ月間、この状況を切り抜けることができれば」というシチュエーンョンは多くだろう。
その状況下で、いちばん避けたい行為が「延滞」に突入してしまうことである。
「延滞」することにより遅延損害金が発生し、返済金額がより増えてしまうという現実的な側面もさることながら、それよりもその事実を記録として残すことの方がはるかにダメージが大きいだろう。
 

このように、どうしても困った場合、少し勇気を振り絞って、利用している会社に問い合わせてみるとよいだろう。
一般的に公示されている部分ではないが、利用者の事情を相談することによって臨時の返済案を提示してくれる場合がある。

困った時の対応 : 利息払いについて

「利息+元金」のうち「利息」しか返済しない方法である。


当然、元金は減らないが、それを実行することによって急場をしのげることができれば助かるといった場合に有効である。
利用者に向けて公示されているか否かはともかく、ほとんどの消費者金融では正当な返済方法として取り扱ってくれる。


店頭による返済であればその旨を申し出れば構わないし、ATMによる返済であれば利息額分だけを返済(入金)しても、何の問題もなくスルーし、明細書の次回返済日欄はちゃんと更新されている。
逆にいえば、利息払いを承諾してもらえない消費者金融の方がおかしいといってよい。
 

消費者金融は「利息」が営業収益なのでその利息を返済している以上、ある意味何の不備もないと考えていい。
業者が思う究極の理想とも言うべき利用方法は、「元金は一切減らさず、利息だけは遅れることなく毎月きっちりと返済してくれる」ことである。
 

ただ、「利息払い」を常習化し続けると業者は勘繰ってくるので注意が必要である。
ある程度の元金も返済することができないのでは、今後どこかで返済が行き詰まるのではと見なされかねないからである。

困った時の対応 : 利息一部払いについて

「ジャンプ」とも呼ばれ、あくまでも応急処置のひとつでる。
利用者が自らこの返済方法を申し出るよりも、業者から提示されるシチュエーションが多いものかもしれない。
ただ、これを行使してしまったがゆえに利用者自身が「要注意人物」ととらえられることになるので、それ相応の覚悟はしておいたほうがいい。
 

このジャンプだが、おおまかに分けて2パターンある。
利息の一部がいくらに当たるかは、当事者同士 (業者と利用者) の相談や、そのときの利用者の経済事情によって決定される部分が大きいので一概にいえないが、「返済金額の大小に関わらず、返済を行えば返済日が更新される」ところにジャンプの威力が隠されているといえるだろう。


「当日の返済分の一部を後日に繰り越す(回す)・・・ジャンプさせる」という呼称の由来である。
ただ、先にも記したようにあくまでも応急処置的な返済方法であり、これを継続的に利用することはかなり危険である。
そもそも、この方法の継続利用は認めていない会社も多い。


いわゆる「ジャンプ」は、利息の返済を後々に回しているだけに過ぎず、「利息をツケにしている」ようなもので、当然、後からそれをまとめて返済しなければならない。
また、これを続けている以上、元金も一向に減ることはないのである。

延滞についての正しい理解

消費者信用産業のなかで、「延滞」をしてしまうことはできれば避けたいことである。
それが決して悪意のない「うっかり忘れ」であっても「たった1日」という安直な考え方は、これから先「信用人生」を歩んでいくうえで命取りになりかねない。
1日でも10日でも「延滞は延滞」である。
まず、これはしっかりと肝に銘じておきたい。
 

ただ、それは相反する大きな落とし穴にハマってしまう危険性もはらんでいる。
「延滞」を避けるために「キャッシング」をし、そして「その借金の延滞」を避けるためにまた「キャッシング」をする。
つまり、自転車操業に陥ってしまうことである。
それがいま社会問題化し、多重債務者や自己破産者の増加の主因となっているのは周知のとおりである。
 

本来であれば、「延滞は絶対に避けるべき」と断定すべきところであるが、昨今、その言葉自体が「強迫観念」にすり替わり、それを維持したいがために重大な事故に発展する例が増えてきている。


ここでは、「延滞」を薦めるつもりはない。
それによってクレジットカードやべつの消費者金融の新規契約が困難になったり、各人の利用状況に少なからずダメージや不利益がはね返ってくるからである。
しかし、ここでは「延滞完全否定」の態度を取るつもりもない。
なぜなら「延滞をする」ことにより、より重大な事故に陥らない場合も多々あるからである。

困った時 : 延滞の質を理解する

延滞日数が「0」というのは、通常利用のことで、ほとんどの利用者はこれを超えることなく利用しており、健全な利用のバロメーターの目印といっていい。
 

ここでは何を把握しておきたいかというと、「延滞」にも2つの種類が存在するということである。
ひとつは「自分が利用している会社の延滞」で、もうひとつは「信用情報機関の延滞(ここでは全情連の延滞)」である。
これら2つは同等のものとして解釈されがちであるが、現実においてはまったくの別物として取り扱われているのである。
当然、多くの利用者は「前者の延滞」に気を配っているはずで、実際のところ「後者の延滞」はほとんど意識していない。
 

消費者信用産業内においてこの2つの「延滞」はどう捉えられているのだろうか。
それを正確に把握していれば、万が一という局面で役に立つ場合も多い。
 

絶対的な価値があるのは「後者の延滞」、つまり「信用情報機関の延滞」とされ、これは不変である。
極論すれば、多くの利用者が意識している「自分が利用している会社の延滞」はマクロなものである。
なぜならそれは所詮自社内でのみ取り扱われ、また完結されるレベルのものにすぎないが、「信用情報機関の延滞」は、「CRIN」を介して、即消費者信用産業全体に波及してしまうことを意味する。


つまり、この「延滞」を犯してしまうと、「CRIN」によって「お達し」が伝達され、利用者自身が「消費者信用産業界からほぼ追放」されてしまうことになりかねないのである。
 

どうしても目の前の「延滞」にのみ意識が行き、それが自転車操業に陥ってしまう引き金となっている一面も現実としてある。
「延滞」が長引くことにより利用者はパニックに陥り、そして精神的にも追いつめられるのである。
しかし逆に考えれば、この状況さえ把握していれば決定的な事故に発展することば少なく、またそこに利用者を踏み入れさせることのないよう各社は債権管理を細分化しているのである。

困った時 : 返済を忘れてしまった場合

日常利用において、もっとも多い延滞のレベルが「うっかり忘れ」や「4、5日間忘れ」で、これは、よくあるケースだと思われる。
 

やむを得ず延滞をしてしまう場合、それがたった1日間であろうが10日間に及ぼうが「まず、自分から連絡を入れるべき」である。
そのタイミングは当日で構わないが、あきらかに遅れることが判明している場合は前日の方がベターである。
「うっかり忘れ」による電話連絡は現実問題として不可能かもしれないが、「それでも事後報告のケアとして一報を入れておきたいところである。
「延滞」をしたという事実が消えることは決してないが、「この利用者は延滞をしても大丈夫」という信用を少なからず与えることはできるだろう。
 

もし、連絡を入れずに「延滞」をしてしまった場合においては、消費者金融各社はどこの会社の督促電話が早い遅いというよりも、「利用者」によってオンオフを切り分けていることが多い。
要するに「この利用者は大丈夫だ」と判断すればあえて急かすことはないが、「この利用者は問題あり」と判断すればすぐに電話連絡が入る。


比較的「はじめて延滞をしてしまった利用者」には、すぐに電話連絡を入れる場合が多い。
会社にとっても、また利用者にとっても「延滞」に対する「免疫」がないからである。
そして昨今の貸倒や多重債務の現状も踏まえ、「はじめての延滞の方」にはとくに敏感に反応する傾向が強い。
 

金銭的には、約定返済日の翌日から各々の年率によって定められた「遅延損害金」が発生する。
消費者金融の場合、このレベルの延滞は、ほぼ日常的なこととして発生しているが、だからといってそこに甘えが生じてしまうと危険である。


「1、2日間だったら大丈夫」というのは利用者の勝手な解釈であり、たとえ1日でも、それが2、3回と続き常習化されれば「利用限度額の減額」という形ではね返ってくることになる。
そして改心したからといってその「減額分」が再生される可能性は極めて低い。

困った時 :別の角度から見た全情連の「延滞」

全情連における「延滞」は、「入金予定日から、3ヶ月間未入金」と厳格に定義づけられている。
逆にいえば、この条件に合致する延滞以外、全情連では情報上の延滞として取り扱わないということになる。
 

では、利用者と消費者金融の間において、日常取引で多々発生すると思われる延滞(ここで記す「延滞」とは、うっかり忘れであったり、4、5日間遅れてしまったなど)は、全情連ではどのように処理されているのだろうか。
 

会員である消費者金融各社は、本人要件情報(住所や電話番号など)やその貸付情報(貸付日や残高金額など)に変化が生じるたびに、全情連に報告しなけければならない。
会員各社にとっては、重要な「日常業務」のうちのひとつである。
これは信用情報機関の事務ガイドラインにも記載されており、会員各社には義務づけられているのである。
ちなみに、それを怠ったことが発覚すれば、全情連から該当する会員(会社)に注意勧告がなされたり、場合によっては、除名という厳しい処分も下されることになる。
 

その貸付情報のひとつに「入金予定日」という項目がある。
これは「次回の返済日」のことだが、結果として、これが「うっかり忘れレベルの延滞」を指し示すことになる。
たとえば、「J社」という消費者金融を利用していて、入金予定日が「3月10日」となっていたとする。
その期日以内に返済をすれば、会員(J社)からの報告で入金予定日が「つぎの入金予定日」に更新される。
しかし、期日を過ぎても返済がなければその入金予定日は「3月10日」のままである。
 

これを、全情連加盟のべつの消費者金融(たとえば「Z社」)が「3月15日」に、途上与信のため当人の照会をしたとする(この人は、J社とZ社の2社を利用していると仮定)。
J社の入金予定日を見れば「3月10日」のままで、「これは延滞しているらしい」と合点がつく、という仕組みなのである。
これは、テラネット会員が全情連へ照会した場合にも同様の見え方となっている。


もちろん、4、5日間遅れたとしても、その後ちゃんと「J社」に返済すれば、入金予定日は「つぎの入金予定日」に更新され、たとえうっかり忘れであっても、その延滞の事実を照会した際に利用中のべつの会社が見てしまった場合、少なくとも「いい印象は与えない」と容易に想像がつく。
それが引いては、利用限度額増減時のファクターに微妙に影響を与えることも十分考えられる。


以上のように、全情連では、「うっかり忘れレベルの延滞」は「延滞」という情報がなくとも返済が遅れていることを把握できる仕組みとなっているのである。

相談することの重要性

一般的に「借金」の相談は口外しづらいものである。
それは相手が近親であればあるはど、相談することは難しいものだろう。
 

人間は、生まれたときから「借金はよくないこと」として教えられ、そして育てられてきた。
今も昔も「借金」に対する印象はどこまでも否定的で、かつ排他的である。
さらに「借金」をする人は「人格」まで疑われ、さもすると「悪人」扱いで捉えられる場合も多い。


「多重債務」に陥る根本は、世の中の不況はいうに及ばず業者の高金利や過剰貸付、また利用者の無計画さがそのフックとしてとかく取り上げられるが、実はそのような目に見える事象よりもこういった「相談しづらい空気」によるところが非常に大きいと考えられる。
 

返済が苦しくなる状況は、利用者個々に左右されるので一概には言い切れないが、「自分自身が苦しいと思えば」それが何らかのシグナルとなっているはずである。
まずその時点で、それを我慢するのではなく、親、兄弟、親戚、知人、友人など、自分の周りにいる人に、事情を相談してみることが何よりも大事なことである。

カウンセリング : 利用会社への相談

実際は、自分の身近なところから相談するのが適切な場合が多いのだが、人間それぞれ人にはいえない事情があるわけで、「理想」ばかりを追求しても事態は変わらない。
そこで、次に挙げるような相談先が外部の救済団体やカウンセリング機関となる。
当然、ここでは弁護士事務所等に駆け込む場合もあるだろう。


外部機関というと、すぐにそれ専門の場所に意識が行きがちだが、1、2社のみの利用状況であれば「いま利用している会社」に返済相談を持ちかけたほうがいい。
「相談しづらい話」だが、おおよそまっとうな消費者金融であれば、事情を正直に説明することにより、必ず何らかの返済代替案を提示してくれるはずである。
現在、貸倒が増加し、それにまつわる事故も多発している中、各社とも返済が厳しいという人や、それが滞りがちな人に対するケアは人一倍神経を使っている。
相談したからといって、いきなり「全額返済」を強制されることば絶対にない。
まず、自分が利用している会社に早期に相談することがおおごとに発展しないポイントである。


ただ、これが「多件数」を抱え込んでしまっている場合は抜本的な解決方法を模索しづらいのが実状である。
なぜなら、利用中の会社への相談はその会社の債権についてのみ言及されるからである。
いってしまえば「よその会社の借金は関係ない」と捉えられても、何ら不自然ではないだろう。

カウンセリング : 本当の意味でのカウンセリング

現在、債務整理を含むカウンセリングを実施するには「弁護士法第72条・第73条」によってその行いが規制されている。
これは弁護士に依存するところが大きく、また単に法律の知識を要していれば事が足りるかといえば決してそんなことはなく、一口に「カウンセリング」といっても事情が事情だけにその間口を広めるのは困難を極める。


また相談者が誤解しやすい点に、「カウンセリング」の主旨の捉え違いがある。
これは、あくまでも多重債務者に対し公正・中立なカウンセリングを行い、その生活再建と救済を図ることを主目的としている。
よって、その一連の流れの先に一選択肢として「債務整理」等があるわけで、私的であれ法的であれ即手段を実行する場ではない。
相談者の声に耳を傾け、事情を把握し、そして的確なアドバイスを行う。
さらに、相談者が以後自立できるよう促すこと。
ここまでフォローが行き届いて、はじめて「カウセリング」が完結するのである。

規制の目的

融資してくれるところがあっての話だが、人間は誰もが「借金」そのものは自由にできる。
しかし、その自由はあくまでも自分自身で制御できる範囲内でのもので、それが麻痺した状況下での自由は即破滅につながりかねない。
一般的に表立った事象として出てこないが、世の中には「借金依存症」の人たちも現にいる。
数ある依存症と同様、自分自身ではもはや制御不能に陥っており、それに対して少なからず何らかの規制を設けておかなければ大事故に発展しかねない。

貸出規制 : 貸出自粛の依頼

各貸金業協会を通して信用情報機関にその「依頼」を登録することによって、新規契約や追加融資を「自粛してもらう」ことを前提にしている。
しかし、あくまでも該当する信用情報機関を利用している会員のみが与信時に閲覧できる情報で、そこに加盟していない消費者金融にはまったく効力がない。


また、性質上「自粛」のお願いであり、「禁止」を強制しているわけではない。
つまり、その情報を見たクレジットカード会社や消費者金融にすべて判断が委ねられることになり、それを「無視」して契約したり融資が行われても、貸金業協会や信用情報機関は責任を持ってくれない。
「本人登録(すなわち、自分で自分の貸出を自粛してもらうよう依頼する)」が大原則だが、当人が失踪中などやむを得ない事情の場合に限り親族でも登録することが可能である。
登録期間は5年間で、それ以上になれば自動抹消される。
よって、登録延長したい場合は、再度、自粛依頼を提出しなければならない。

貸出規制 : 貸出禁止の依頼

通称「貸禁」といって、親族や会社の上司が、直接、当人が利用中の消費者金融に対し「当人にはこれ以上貸さないでください」と、各社規定の書類を提出することによって借入を防ぐことができる。
大手・中堅以上の消費者金融では、事情を説明することにより対処してくれる。


ただ、各社個別に申請しなければまったく意味をなさず、当人が利用中の消費者金融を把握していなければ対処の仕様がない。

2つに分類される「多重」の意味

一口に「多重」といっても、それは「多額債務者」と「多件数債務者」に分けて考えることが必要である。
当然、両者のジョイント型がもっとも多いのだが、それを分解することによって各々に合致した対処方法を取ることも可能である。


「多額債務者」とは「金額過多」に陥っている人のことであり、「多件数債務者」とは「件数過多」に陥っている人のことである。
世間からみれば、いずれも同じ「多重」に見えるだろうが、これを消費者金融界のなかで見ると、両者の捉えられ方は180度違うものになる。


「金額」は「信用度の高低」によって決定されるものである。
「信用度」が高ければそれに比例して高額借入が可能になるし、逆に、低ければ端金レベルかもしくはゼロということもあり得る。


たとえば、「1社で計100万円」を借りている人と、「5社で20万円ずつの計100万円」を借りている人とでは、「見かけ上」同債務額であるだけにすぎない。
それどころか「多額債務者」は、一転「優良顧客」と見なされる場合もある。
「高額借入ができる」ということは「同額分の信用がある」と判断されるからである。
一方「多件数債務者」というのは、その逆で「不良客」として嫌がられる。
なぜなら「信用度が低いから(件)数で繕っている」と見られるからである。

多重債務者 : 一本化について

「多件数」の場合、一本化を実行することにより楽になる場合がある。
要するに「おまとめ」というもので、精神的、金銭的にいくぶん和らげることが可能である。
精神的には「明日はB社、明後日はC社」といったように返済日のやりくりで苦しまなくてもいいし、金銭的には高額融資によってその分金利が安くなる場合があるので、トータル的には返済総額を抑える効果もある。
しかし「一本化」しても「借入総額は一緒」であり、場合によっては「増える」こともある。
ここで、確実に減るのは「件数」だけである。


ただ実際のところ、それを実行してしまったがゆえに、より状況が悪化する可能性もなきにしもあらずである。
「利用している会社の件数が減った」という「甘え」から、完済したはずの会社から再度借入してしまったり、「件数減少」をいいことに別の業者から借入してしまう場合も多い。
そういった意味で、「一本化」は「諸刃の剣」的な側面もある。

多重債務者 : 時効について

消費者金融の金銭貸借にも「時効」は定められている。
基本的に営利を目的とする法人である以上「商人」と見なされ、その貸付行為は「商行為」となり「5年間」で消滅時効となる。


しかし、ここからが問題である。
もし、5年間の中途で元金の一部、もしくは利息の一部を支払ってしまうとその時点でリセットがかかる。
これが「時効の中断」といわれるものである。
以後、支払ってしまった翌日から5年間、また逃げるなり雲隠れするなりしなければならない。
もちろん「住民票」を動かすこともままならないので、肩身の狭い生活を強いられることになる。


利用者と消費者金融の間では、この手のシチュエーションはよくあることだ。
現実問題として、5年間も利用客を放置しておく消費者金融はあり得ないが、返済が滞っている人に対して、たとえ少額でも実際に支払ってもらおうとするのは、暗に「時間稼ぎ」の意味合いも含まれている。


消費者金融は、相手が行方不明だとしても公示送達で訴訟を起こし、すぐに判決を取ることも可能で、これは「10年間」の効力を持つ。
そのため5年経過して時効が成立したと思っても、実は債務が継続している可能性もある。
以上から、正規業者の借金を時効に持ち込むのは「無駄な行為」となってしまう場合が多い。

多重債務者 : 任意整理について

「任意整理」とは、裁判所を介さず当事者同士(債務者と業者)が話し合い、毎月の返済金額の減免や、今後発生する利息、遅延損害金の減免をしてもらうことである。


やり方としては二通りある。
「すべてを弁護士に依頼する」か「すべてを自分ひとりでやる」か、である。
前者は手間賃が必要になるが、後者は諸経費だけで済む。
しかし自分ひとりでそれを実行する場合、相手からの「取り立て」が続く中での交渉となり、これは精神的にかなりきびしい。
また、任意整理の交渉の席についてもらっても、債務者側が素人であるがゆえに業者の有利な条件で押し切られる場合も多い。


弁護士に依頼するにせよ自分で交渉を行うにせよ、まず「債務一覧表」なるものを作成するところからすべては始まる。
「債務一覧表」とは、いうなれば「借金の家計簿」のようなものである。
毎回の取引時、ちゃんと明細書を保管していればその取引内容を克明に記載することができるが、そこまでしている人は少ないというのが実状だろう。


そこで、業者に対し「取引内容の開示」をお願いする必要が出てくるわけだが、ここで自分ひとりによる交渉を頓挫する人は多い。
いまから借金を減免してもらおうと思っている業者相手に「任意整理のため債務一覧表を作りたいのですが、明細書を捨ててしまったので取引内容の開示をお願いします」と、堂々といえる人は少ないだろう。
法律上、本人の開示要求に対しそれを受諾し、協力しなければならないとなってはいるが、実際問題、もの分かりよく了解してくれるとは言い難い。


その点、弁護士依頼した方が効率的にも結果的にも、安くつく場合もある。
これは、取引開始時にさかのぼって作成されるもので、つまり利用者の借金の歴史がそこにある。
その入出金状況をつぶさに書き出し、「利息制限法」による金利設定で算出し直すのが基本とされている。
ほとんどの貸金業者は「出資法」により金利設定しているので、その「差し引き」でかなりの債務額が圧縮される。
また取引期間が長期に渡っている場合、債務額の圧縮どころか「黒字」に転換してしまうことも多い。
これがいま全国各地で繰り広げられている「過払金返還請求訴訟」の仕組みである。


「利息制限法」による利息計算を行った後、消費者金融との別交渉に入る。
債務額に応じて、返済していける金額を按分弁済する。
相手に毎月の返済金額を明示した和解案を提示し、承諾を得ることができれば「債務弁済和解書」を交わす。
この時点で、これから先発生する利息、遅延損害金がカットされている(すなわち元金だけの返済となる)が、完済期間を条件に掲げて和解案を受諾する業者が多い。
債務額にもよるが、おおむね「2~3年以内」を指定してくる。


たしかに、業者が弁済案に納得してくれない限り和解が成立せず交渉が長期化する可能性もなくはないが、大手は意外にあっさりと和解案に応じているのが現状である。
「世間体」もさることながら、借金を抱えたまま自己破産されるより元金だけも返しておいてもらった方が得策という考え方によるものである。

多重債務者 : 自己破産について

自己破産は、「いずれかの債務整理で破談」したり、「もう所持金が1円もない」となった場合、とりあえず生きていくことを大前提に申請する「最終手段」である。
本来、それはごく一部の債務者の最終手段として用意されていたものだったが、現在では「もっともポピュラーな手段」として一番最初に「それありき」で活用されている傾向が強いのが問題点とされている。


手順としては、まず所定の地方裁判所に「破産申立」をする。
それから1ヶ月の間に裁判所から呼び出しがあり、破産申立の内容について裁判官から口頭で質問を受ける。
破産申立から1~2ヶ月の間に破産宣告を行う。
財産のない破産者は、この宣告と同時に廃止決定がなされる。
同時廃止の決定から1ヶ月以内に免責申立を行う(裁判所によっては破産申立時に免責申立を行う)。
その後、裁判所から呼び出しがあり、免責申立について裁判官から口頭で質問を受ける。


その結果、免責が決定した場合は、破産が確定し、借金は無効になる。
ただし以降10年間は自己破産をすることはできない。
一方、免責の不認可が決定した場合は、破産ができず借金も残ったままとなる。

弁護士と債務整理ビジネス

「債務整理ビジネス」が繁栄を誇った裏側には、自己破産申請者やその予備軍である多重債務者の激増という力ード社会が抱える必然的問題の時流もあるが、それよりも2000年10月に改正された「弁護士広告の解禁」によるところが大きいと見られている。
少なくとも、個人レベル間における「自己破産」の認知度が上がったのはいうまでもない事実であろう。


なぜそれまで弁護士広告や宣伝が禁止されていたかというと、「弁護士に優劣などなく、どの弁護士にお願いしても均一のサービスが受けられるから」とされていた。
すなわち、それを公に許してしまうと「商売に走る弁護士」が出てくる可能性もあり、それでは「弁護士」という格式高い職業のランクが下がりかねない。


それが、一転解禁となったのは「消費者が弁護士を選択するためには情報が必要」とする大義名分が風聞されているが、実際は「弁護士という職業として、もっと手広く商売したい」という、背に腹は代えられない声で押し切られたのも事実である。


弁護士介入が比較的多いと考えられるのは自己破産、個人債務者再生手続き、そして任意整理の順になるだろう。
一方、広告解禁後の個人破産者(自己破産)総数と個人債務者再生手続きの取り扱い総数(ともに概算)の推移を図り、仮に全員が弁護士に依頼したとして「自己破産1件25万円/個人再生1件40万円」で換算すると、


・2001年 430億円~ 16万人(400億円)/8千人(32億円)
・2002年 580億円~ 21万人(525億円)/1.5万人(60億円)
・2003年 680億円~ 24万人(600億円)/2万人(80億円)


のようになる。


任意整理の取り扱い数は算出不可能だが、それでも法的手段のものだけで考えても着実に売上は伸びている。
数字はかなり大雑把な捉え方ではあるが、それなりに「一大ビジネス」を形成しているといっていいだろう。

破産者を公示する官報

自己破産をしても、社会生活を送るうえにおいて致命的なダメージを被るような影響はほとんどない。
有資格職の仕事や一部職種に限り多少規制はかかるが、他人に分かる形で「自己破産していること」が表に出ることはない。
もちろん、選挙権もある。


しかし自己破産による影響は「なきに等しい」とする考え方が一般的なところだが、「官報」には破産者の氏名と住所がしっかりと掲載される。
全国の裁判所で行われた判決などが掲示されている「公告」に掲載される「破産宣告」の箇所である。


ここで問題となるのが、この箇所をいわゆる「ヤミ金融業者」が利用していることである。
自己破産してしまうとしばらくはクレジットカード等を作ることができず、また種々のローンを組むこともできない。
これから先、世の中で生活していくうえで正統的に「借金」をすることが非常に困難を極める。
自己破産の免責を受け「官報」に氏名と住所が載ると、それを基にヤミ金融業者はダイレクトメール(DM)などを送りつけてくる。
そして、これは「借りてもらう」まで、続くことになる。


なぜ、このような事象の原因となるものが公然と国家の公告紙に掲載されているかだが、これには正当な理由がある。
いわゆる「債権者に対する事実の報告」である。
破産する人(債務者)は、大抵、債権者に黙ってしてしまう場合が多い。
それでは逆に債権者が多大な不利益を被りかねないからである。
これは当然のことであるのだが、しかし現実問題、「官報」の取り扱われ方が犯罪の原因と化している以上、何らかの対策は必要であろう。
世の中にはその「官報」に掲載されている個人破産者情報をデータベース化し、れっきとした商売にしている会社もある。

地域別に見る破産者の割合

全情連の関連企業のひとつである日本情報センターでは、「官報」に公告されている破産宣告者などをデータベース化し、全情連加盟の会員各社に対しその情報提供のサービスを行っている。
通称「PRIS」と呼ばれるもので、「公的記録情報」に特化して収集されている。
同社では、単純に宣告者の住所や氏名の抽出だけではなくそこから得られる様々な解析も同時に行っているが、そのひとつに「地域別」、「都道府県別」の切り口で破産宣告者を分類したデータを公表している。


それによると、「九州地区」における破産宣告者の割合が突出して高く、とくに「都道府県別」では、九州9県のうち6県が上位十傑に県名を連ね、さらに上位5県はすべて同地区で占められている。
あくまでも「破産宣告を受けた人数を、人口10万人あたりの人数に換算した数値」であり、これが即「破産宣告者数が多い県順」というわけではないが(数でいえば、人口数の原理で首都圏が多くなるはず)、これはその含有率を表している側面もあり、なかなか興味深い情報といえるだろう。


ほかに地域別から得られることは、総じて「西日本地区」のそれが高くなっており、現に都道府県上位十傑でも「東1:西9」と「大差」がついている。
逆に、人数比の低い都道府県別では「東6:西4」となっている事実からみても、破産宣告者は全国的に「西高東低」の様相を呈していると判断できる。


いま全国的に不況であるが、地方に行くほどそれは顕著な傾向となっている。
日本古来の第一次および第二次産業の衰退が叫ばれるなか、とくにそれらに含まれる産業を柱としている地域がより不況のなかで苦しんでいることから、そこに住む各人の収入が減少しそれが何らかの借入に向かわせ、結果破産等を引き起こすという連鎖事情も一要因として考えられるだろう。


ここ数年、中央の一極集中を危慎し、地方分権が声高に叫ばれているが、実際には「遷都」など不可能なことであり、それに付随して経済自体も滞ったままとなれば、中央と地方の格差は決して埋まることはなく、それどころかますます広がる一方という矛盾も生じてくる。
破産宣告者の人数比は、少なからず日本の経済情勢の一極集中の歪みを表した「縮図」とも見て取れるだろう。

カウンセリング : 問い合わせ件数について

財団法人日本クレジットカウンセリング協会の相談実績によると、2001年に突出した問い合わせ件数を記録したのは、同時期のマスコミ報道による影響が大きい。
ただ、この影響を除いた基調としては前年度と同等もしくは微増と推測している。


実際、同協会に赴いて「カウンセリング」を実施した件数をみると、あきらかに増加傾向にあることから、多重債務者問題の深刻さが窺い知れる結果となっている。

カウンセリング : 年齢と性別について

相談者の年齢を通年で捉えてみると、1992年までは「20歳代」の若年層の割合が増大していたが、同年をピークに年々減少の一途を辿っている。
それに取って代わる年齢層として、住宅ローンに苦しむ中高年層の増大が顕著となってきた。
しかし2002年は「20歳代」が再び増加に転じ、さらに「30歳代前半」も増加の傾向を示した。


一方、性別は大まかに「男性7:女性3」で推移している。
これはクレジットカードや消費者金融の利用顧客状況にも合致する割合である。

カウンセリング : 一人あたりの平均債務額と件数について

相談者一人あたりの債務額(万円)と債務件数(社)


2001年   債務額   債務件数    2002年   債務額    債務件数


20~29歳  309.6     7.8              291.2      7.7


30~39歳  497.6     9.8              452.8      9.1


40~49歳  595.8     10.8             550.1      11.0


50~59歳  600.3     10.2             519.1      9.5


60~69歳  537.2     8.3              301.6      6.3


全年齢    482      9.4              413.2      8.8


多重債務者の実情が、より浮き彫りにされる事象であろう。
経済状況の活発な働き盛りの年代ほど、債務額と件数が高くなっているのが瞭然である。
前年度に比べ、両事象の平均が減少した理由として、債務額&件数が比較的少ない30歳代前半以下の若年層の相談者数が増えたことによる影響と見ている。

カウンセリング : 相談事由について

1996年以降、「生活費」を第一の原因に挙げる相談者が年々増えてきている。
しかし、これは同時に「遊興・飲食・交際費」、「ギャンブル」を挙げる相談者も多く、その事由が数種にまたがっていることも留意しなければならない。
これらは「内的要因」として見ることができるが、一方、外的要因とされる「収入減少・失業・倒産」については、2000年以降減少傾向にある。

多重債務者 : 担保ローンと事業者ローンについて

何かしらの「担保」を持っていたり「事業」を興していれば、担保ローン・事業者ローンに乗り換えることがも可能である。
現在、消費者金融各社も「無担保」だけでは儲けが少ないため、これらのローンを用意しているところもある。

多重債務者 : 特定調停について

「借金」にまつわる事故が多発する中、現在、注目を浴びる手法がこの「特定調停」である。
以前まで「借金」にまつわる調停制度といえば「債務弁済調停手続き」が一般的に使われていたが、2000年2月に「特定調停法」が施行され、以降、調停といえばこの「特定調停」を指すようになった。
現在の多重債務事情を反映した制度であるといえよう。


これは、簡易裁判所で行う法的手段で、同裁判所の調停委員が利用者と業者の間に入って、利息の減免や返済条件の緩和策を話し合うやり方である。
長所としては、債務者本人によって裁判所を介するとはいえ、そう大層な専門知識を必要とせず、また費用を安く抑えることができる。
その他に、「出資法」から「利息制限法」への引き直し算出ができることや、強制執行の停止を保持したりできる。
そして、交渉ごとは債務者に代わって調停委員が行ってくれることもありがたい。


さらに、「特定調停」では業者が調停案に応じないとき、裁判所側から「調停に代わる決定」といって和解案を提示することができる。
これに対して2週間以内に異議申立がなければ確定し和解が成立してしまう。


しかし、いいことばかりではない。
まず手続きが債権者(業者)ごとに進むため、相手によってはまったく効き目がないこともある。
あくまでも「調停」なので、業者ごとに進行させなければならない。
そのため、一部の業者が話し合いに応じてくれない場合、せっかく話し合いに応じてくれる業者にも悪影響が出てくる。
ただ、裁判所が相当と認めれば、そういった業者にも、「決定」という形でなかば強引にまとめさせることも可能である。


債務者としてすこし厄介なのは、調停で決まった内容が「調停調書」という書面になることである。
これは「債務名義」ともいい、確定判決同様、強制執行が可能となるものなので一切融通が利かない。
つまり、返済が滞った場合、給料や自宅を差し押さえられる恐れも生じてくる。
適当な返済代替案や緩和策を提示すると、あとから自分で自分の首を締める結果にもなりかねないので、「確実に実行できる調停案」を提示することが何よりも重要になってくる。


最後に、債務者本人と業者の要求が乖離しすぎていたり、妥協点が見つからなければ「調停不調」といって調停そのものが「中止」になる場合もある。

多重債務者 : 個人債務者再生手続きについて

2001年4月から施行された新しい法律で「民事再生手続き」の個人版である。
簡単にいえば、「残債務の一部は3年間なり5年間で返済するので、それ以上の残額は免除してほしい」という制度である。


基本的に「定期収入のある方」向けの法的手段なので、直近1年間あたりの収入が不安定な人はこれを利用するのは無理な場合がある。
また、自己破産のように資格免許職に就くことができなくなったり等、職種制限がないため仕事面で影響がある人には好都合である。
さらに「住宅資金特別条項」という住宅ローンの繰り延べを認める規定もある。


ただ、申請時に提出する「再生計画案」を練るのは容易なことではない。
これはかなり綿密な計画の提出を義務づけられているので、同手続きに精通した弁護士に任さなければ手に負えない場合が多い。
また、債務者が住宅ローンを抱えている場合、消費者金融等の一般債務と一本にまとめることができず、それら動産に担保を付けていたりすると利用できないなどの制約がある。
結局のところ、個人レベルではまだまだ使い勝手が悪く、それを断念して「任意整理」や「特定調停」に切り替える人も多いのが実状である。