国際力ードブランドのデュアル発行が進んだ理由
いまでも「ビザ」とは海外旅行でパスポートと同様に必要な海外渡航の許可証だと思っている人もいるという話を聞く。
また、若手ビジネスマンの間でもビザ(VISA)というと三井住友銀行の仲間だと思っている人がいるらしい。
そんな疑問はここで解決しておこう。
ビザは、正式にはクレジットカードの国際ブランドである「VISA International」(本部ニューヨーク)のことを意味している。
バンク・オブ・アメリカ(バンカメリカ)が中心となって設立した銀行系カードの組織である。
各銀行にカード発行権と加盟店獲得権を与える本部機関であり、VISAインターナショナル自体はカードを発行していないのが大きな特徴である。
VISAインターナショナルは、常にお客である銀行に信頼される地球規模のカード決済のネットワークを構築することに全力をあげて努力している。
わが国においては、国内におけるVISAカードを展開する組織として旧住友銀行が母体となって住友クレジットサービス(現三井住友カード)が設立された。
また、とりまとめ組織として旧住友銀行、旧東京銀行らが中心となってビザ・ジャパン協会が設立された。
国際カードブランドで、「VISA International」と双壁をなすのが「MasterCard lnternational」である。
日本市場においては住友銀行がVISAを選択したために、他の銀行のほとんどはアンチ・住友陣営をひいた。
その結果、UCカード、DCカード、ミリオンカードサービス(現UFJカード)など、都市銀行が母体となって設立した銀行系カード会社のすべてがMasterCardブランドのクレジットカードの新規会員を増やしていった。
これにより、アジア市場、とくに日本における国際カードの市場シェアはマスターカード優位という状況が発生した。
VISAの課題は、マスターカード優位の日本市場でのシェア奪回である。
VISAは、従来から銀行系にのみカード発行を許していたが、1980年代後半に入り信販会社や流通系カード会社へ特別にカード発行権(スペシャルライセンシー)を認めるという思いきった戦略に出た。
それにより、日本信販、クレディセゾン、ダイエーOMC(現OMCカード)がVISAの特別発行権を獲得した。
マスターカードはすでにこれらの企業にも発行権を認めていたため、VISAとマスターカードという国際カードブランドのデュアル発行が可能となったのである。
これに対応すべく銀行系カード会社であるDCカードがVISA<の発行権を獲得し、UCカードやミリオンカードサービス(現UFJカード)もこれに追随した。
そうなると、VISAのみを発行している住友クレジットサービスだけが取り残されることになる。
そこで住友クレジットサービスも、VISAのフランチャイズ企業がマスターカードを発行できるよう、1989年にオムニカード協会というマスターカード発行のための団体を旧東京銀行、旧あさひ銀行など40社を母体として設立し、ようやく銀行系カードのデュアル発行体制が整うことになる。
ただしJCBだけは、ナショナルブランドとしての国際化路線をとり、JCBプラザの出店を加速したり、海外の金融機関との提携によるカードの現地発行や加盟店開拓を行なうなど、独自の路線を歩んでいったのである。